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3年生の今月の本


ガラスのうま タイトル ガラスのうま
著者 征矢 清
出版社 偕成社
 

 ある日、すぐりは、ガラスのうまとあそびたくてたまらなくなりました。そのうまは、すぐりが赤ちゃんのときから、かざりだなの上にいました。
「あのうま、庭に出してやりたいな。あんなせまいところじゃ走れないもんな」
 すぐりは、ずっとそう思っていました。そして、とうとう、どうしたってうまを走らせないではいられなくなったのです。

 すぐりは、うまの後足を指先で引き寄せました。すると、うまは、突然後足をはねあげ、すぐりの手をふりきって、たなの上から飛び出しました。ガラスのうまは、こんなに高いところから飛び降りたのは始めてだったので、床についた時、前足をひどくぶつけてしまいました。うまの右の前足は、ひざのところで、ぽっきりおれていました。

 うまは、今にも泣きそうな顔をしています。
「走れるよ。絶対走れるよ。走れるようにしてやるよ」
 すぐりも泣きそうな顔で言いました。そして、いつも壊れたおもちゃをくっつけるときに使うテープで折れた足をしっかり巻きました。
 うまは、立つことはできましたが、まだ、悲しそうな顔をしていました。
「ね、歩ける? いたくない?」
 すぐりが聞くと、馬は何も言わずに、庭へかけだしました。
「まてよ、まて! まてったら!」
 すぐりも、はだしのまま外へかけだしました。

 ガラス山の方にむかって走っているうまのたてがみが、夕日できらきらひかっていました。でもすぐに、うまは、こんもりしげった「ねむりどりの木」のかげに見えなくなりました。

●すぐりは、ガラスのうまを追いかけて、ガラス山へ向かいます。そこには、たくさんのガラスの生き物がいて、いつの間にか、すぐりもガラスの子どもになってしまいます。第40回 野間児童文芸賞を受賞した作品です。

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