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3年生の今月の本


ホウ博士とロボットのいる町 タイトル ホウ博士とロボットのいる町
著者 松村 美樹子
出版社 ポプラ社
 

 「ふむ。うーん……なるほど」
 ホウ博士は今日も、本を手に研究をしている。小さな町のかたすみにある、古い白壁の大きな屋敷。がっしりとした門と古ぼけた塀にかこまれた庭には、手入れをしていない木がのび放題に枝をのばしている。ここが、ホウ博士の家だ。ホウ博士がどんな研究をしているのか、町の人たちはあまりしらない。

「ほら、あれがホウ博士よ」
「小さい頃、あの屋敷で、おじいさんといっしょに暮らしていたんだって?」
「ああ。ずーっと前にこの町を出て、勉強のために遠くの街に住んでいたらしい。おじいさんが亡くなってから、帰ってきたのさ」
 ひそひそ話しているけれど、くわしく聞いたことのある人はだれもいない。

 ある日、ホウ博士は『ドロボウよけロボット』をつくった。たいせつなのは、研究室の中にあるものだけ。この研究室を守る、それだけでいい。『ドロボウよけロボット』はホウ博士の家をかこむ塀にそって、カタンカタン、カタンカタンと歩きつづけていた。

 ある雨の日の午後、
「雨といっても、ロボットにはどうということはないが……まあ一応ようすを見てみるか」
 めんどうくさそうに立ちあがり、歩いて門を出たホウ博士は、びっくりして足をとめた。そこには、道にとまったロボットにカサをさしかけている女の人が立っていた。

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