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3年生の今月の本


わすれてもいいよ タイトル わすれてもいいよ
著者 渋谷 愛子
出版社 学習研究社
 

 家に帰ると、お母さんは、お母さんの妹のなおちゃんと、きょうだいげんかの真っ最中だった。ぼくは、お姉ちゃんの部屋に避難した。
「なんで、けんかしてるの?」
「なおちゃんのお友達の木村さんって覚えてる? 一週間入院することになったんだって。なおちゃんが『一週間だけだから、その間あずかる約束した』って言ったら、お母さんが怒った」
「あずかる?犬かねこ?」
「どっちも、はずれ」
 なんと、なおちゃんがあずかる約束をしたのは、こ・ど・も!

 そして数日後……。うぎゃあ、うぎゃあ、泣いている子どもをだっこして、突然なおちゃんがやってきた。
「ま、み、む、め、まもくんでーす!」
「だから『むり』っていったでしょ」
 お母さんがいばったようにいった。歩けるけれど、まだことばは話せない。
「あーい!」の返事はできる。木村まもる、まもくんは、一歳十ヶ月の男の子だった。

 そういうわけで、なおちゃんの代わりに、うちでまもくんをあずかることになった。このごろ元気がなかったお母さんが、ふしぎとやけにはりきっている。お父さんは
「しかたないだろう。だけど協力はできない」
と不機嫌そう。おねえちゃんもふくれている。
「わたしも協力はむり。ひまな小学生にまかせる」
とぼくに押し付けた。
「わかった。ぼく、育児するよ」
 ぼくがいうと、おねえちゃんがふきだした。
「勇太が育児?」
「まもくんの育児は引き受けた!」
 ぼくの育児参加宣言だ。

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