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3年生の今月の本


天使のまささんおひるね中 タイトル 天使のまささんおひるね中
著者 柏葉 幸子
出版社 大日本図書
 

 あみは、学校からていぼうぞいの道をかえります。今日は土曜日、そしていい天気。海をみおろす坂のてっぺんに小さな教会があるので、教会坂とよばれる町。その坂のまんなかあたりに、あみの家があるのです。

「あみは、いい子だな。」
 とつぜんきいたことのない声がします。あたりをみまわしても、だれもいません。
「ここ、ここだよ。」
 声は坂の上からきこえます。教会の入り口のかいだんに、おじさんがすわっていました。天使でしょうか?せなかに白い大きなつばさ、頭の上にわっかも見えます。でもちがうような気もします。おなかはつきでているし、きているのもよれよれのグレーのせびろです。

 すると、そのおじさんはいいました。
「天使ってたいへんなんだよな。つかれちゃって、ちょっとひるねがしたいんだ。わしがねてるあいだ、天使の代理をあみにたのみたいんだ。天使の代理は、いい子じゃないとつとまらないから。」

  あくびをしたまささんはそういいながら、せなかに手をまわしました。すると、まささんのせなかからつばさだけがはなれて、ぱたぱたとんできます。そしてランドセルをせおったあみのせなかに、ぺたんとくっついてしまいました。おどろくあみにおかまいなく、まささんは、かいだんに横になって、ぐうぐうねてしまいます。
「おきて、おきて。」
  まささんの体をゆさぶっているあみの耳に、さっそく、
「だれか助けて!」
とひめいがきこえました。

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