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> 歌うねずみウルフ
タイトル | 歌うねずみウルフ | |
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著者 | ディック・キング=スミス | |
出版社 | 偕成社 | |
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ウルフガング・ア・マウス・モーツァルトは、13びき兄弟の末っ子です。お母さんねずみは、上の12ひきの兄弟にはビルとかジェーンといった普通の名前をつけました。最後に末っ子に名前をつけようと思ったら、体の大きさが兄さんや姉さんたちの半分くらいしかありません。お母さんは、この小さい子にせめてすてきな名前をつけてあげようと思いました。 ところで、このお母さんねずみは、ピアノずきの女性の家に住んでいました。もうすぐ子どもたちが生まれるという晩のこと、お母さんは子どもたちのベッドをつくるための材料を探すため、穴から出てきました。するとピアノのいすの上に、一枚の楽譜がのこっていました。お母さんは、その楽譜を細かく破って、ふんわり気持ちのいい寝床をこしらえました。 子どもたちが生まれて3、4日たちましたが、お母さんはまだ末っ子のすてきな名前を思いつきませんでした。そんなとき、ふと目にとまったものがあります。細かく破ったはずの紙切れののこりに何かが書いてあります。『ウルフガング・ア・マウス・モーツァルト』お母さんは嬉しくなって思わず声をあげました。 何週間かたつと、子ねずみたちは穴から這い出して、ぼうけんをするようになりました。特におもしろかったのは、鍵盤かけっこです。しかし、ちびのウルフガング・ア・マウス・モーツァルトは、いつもビリでした。そのたびに兄さんや姉さんは大笑いするのです。ちびの弟をばかにしていましたし、お母さんが末っ子ばかりかわいがるので、やきもちをやいていたのです。 そのうち、兄弟の中でも勇敢なものから順に、穴に戻ってこなくなりました。ひとり、またひとり。とうとう、穴に戻ってくるのはウルフだけになったのです。 |