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3年生の今月の本


だめねこのいっしょけんめい タイトル だめねこのいっしょけんめい
著者 森山 京
出版社 ポプラ社
 

 むかし、古いやしきに一ぴきのねこが住んでいました。しかし、このねこ、ねずみの鳴き声や足音を聞いただけで、ぶるぶるふるえだすという、おくびょうなねこでした。こうなると、ねずみもねこをこわがらず、昼間から天じょうをかけぬけたり、台所で野さいをかじるなど、のさばるようになりました。

「なんと、なさけないねこだ。ちっとは、ねこらしいところを見せてくれ」
 主人はおこりました。ねこも、今日こそは、と決心するのですが、いざ、ねずみに会うと、へたへたとすわりこんでしまうのでした。
(ああ、われながら、はずかしい)
 ねこは、にげるように庭の木ヘ登りました。木の上にいれば、ねずみのすがたを見ることもないし、主人にうるさく言われることもないからです。

 ある午後のこと、うたた寝からさめたねこが、木の下に下りると、十数ひきのねずみのむれが、木のまわりをとりかこんでいました。いそいで木の上へ引きかえそうとするねこに、一ぴきの大ねずみが言いました。
「まってくれ、わしがお前さんに会いにきたのは、一大事を知らせるためなのだ」
と、大ねずみは話し出しました。何でも、主人が
「ねずみをとらえられる大ねこをつれてこい。そして今いる役立たずをおい出してしまえ」
と話していたらしいのです。ねずみたちは、ねこが自分たちをおそったりしないので、お礼にこの一大事を教えてくれたのです。この一大事を聞いたねこは、おどろきのあまり、声も出なくなりました。
「そこで、わしらに一つ名あんがある。お前さんが力をかしてくれれば、ことはすべて、うまくいくんだがね」

●大ねずみがもちかけた相談というのは、主人の目の前を、ねずみが走り、つづいてそれを追うように、ねこが走るというものでした。そうすれば、ねこがねずみを追いかけているように見えるというのです。迷ったあげく、ねこはねずみの言う通りにするのですが……。だめねこだけど、一生懸命生きていく姿が印象的です。どのお子さんも興味を持って読める一冊です。

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