トップページ > 読書案内 >  3年生の今月の本 > 3年生におすすめの本
 > おいでおいでの木においで

3年生の今月の本


おいでおいでの木においで タイトル おいでおいでの木においで
著者 石井 睦美
出版社 教育画劇
 

 ぼくんちには、二階のぼくの部屋にむかって、おいでおいでをしているみたいに枝をのばしている、けやきの木が一本ある。ぼくとおにいちゃんは、この木を「おいでおいでの木」と呼んで、おかあさんにないしょでよく登った。地面からでなく、もちろん、この窓から。この部屋も、それからこの木も、はじめはおにいちゃんのものだった。

「おいでおいでの木」という名まえをつけたのもおにいちゃんだ。ぼくがまだ小さくて、木登りなんてぜんぜんできないころ、おにいちゃんは、窓からするりと枝につたっていって、はっぱの影にもぐりこんでしまう。それから、
「おい、ここにいるときは、あんまり大きな声だすなよ」
と、言った。
「どうして?」
と、ぼくが聞くと、
「おかあさんに見つかったりしたらたいへんだからさ」
とおにいちゃん。
「おかあさんに見つかったら、二度と登らせてもらえなくなるからだよ。おかあさんは、あぶないのときたないのがだいきらいなんだ」

 そう言った声だけのおにいちゃんはなんだかすごくかっこよくて、ぼくは、ぼくも早くおいでおいでの木に登れるようになって、そんなことを言ってみたいと思った。

●6年生のお兄ちゃんの成長が、3年生の弟の視点で描かれています。おいでおいでの木との関わり方を通して兄の変化を感じ、自分のことも真剣に考えるようになっていく弟の気持ちを、お子さんと一緒に考えてみるとよいのではないでしょうか。

Page Top