どうしてかわからないけれど、よしろうはとにかく水がきらいです。今日は、学校で水泳がある日。朝からおなかがしくしくいたくなりました。水泳のある日は、いつもこうなのです。
　 体育の時間になりました。よしろうは、保健室に向かいました。やっぱりどうしてもだめです。
「おなかがいたいの？　じゃあちょっと、ねててもらおうかな」
保健室の先生はやさしくいって、よしろうをむかえてくれました。

　ふいにカーテンが開いて、ひょろりとやせた男の子が入ってきました。
「こうじくんは頭がいたいんですって。こうじくんは三年生よ。こうじくん、よしろうくんは二年生。なかよくしてね」
　先生はそう言って，カーテンをしめました。こうじくんはベッドに横にならず、まっすぐまどの外の運動場を見ています。どこかのクラスがなわとびをしています。
「ね、きみも、なわとび、できるの？」
と、こうじくんがよしろうに聞きました。
「できるよ。かんたんだよ」
「そんなにかんたんなら、ぼくに教えてくれよ」