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3年生の今月の本


机のなかの竜の森 タイトル 机のなかの竜の森
著者 ほんだ みゆき
出版社 ポプラ社
 

『いい竜売ってます』
 一学期の始業式の次の日、ぼくたちの小学校の門の前に、そんなのぼりを立てた屋台がでた。屋台といっても、白いはこを地面において、その後ろのいすに、ぼうしをかぶったおじいさんがすわっているだけだ。ぼくたちのクラスは、その話でもちきりだった。

「いい竜って、飛ぶのかな」
「ばっか、カミナリだすんだよ」
 でも先生が、
「より道をしてはいけませんよ」
といったので、竜を見てみたかったけど、がまんして門の前を通りすぎた。その晩、ぼくはおとうさんにたのんでみた。

「学校の前にさあ、竜の屋台があるんだ」
 すると、おとうさんはなつかしそうに言った。
「屋台かあ、おとうさんが子どものころにもあったなあ。カラーひよこっていって、いろんな色にぬられたひよこが売られていたんだ。」

  あまり信用しちゃいけないぞ、と今でもかなしそうに、おとうさんはいった。でもぼくは、竜がほしかった。もし買えなくても、いちど見てみたかった。塾をさぼって、夕方まで校庭であそんで、だれもいなくなってから、こっそり校門の外をのぞいた。

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