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3年生の今月の本


うみからきた のらいぬアップ タイトル うみからきた のらいぬアップ
著者 伊東 信
出版社 秋書房
 

春のはじめのつめたい雨の日、みなとのそばで、ひとりの船いんにひろわれた小さな小犬。
「アップ」という名前をつけてもらって、あるぷす丸の見ならい船いんになった。アップは、あるぷす丸の男たちにかわいがられ、元気にそだっていった。まい朝、船のコックの花おかさんを起こすのがアップの大事な仕事。船がみなとについているときは、かんぱんで見はり番をするのがアップの一番とくいな仕事。

  1年半ほどすぎ、それまでに地球を三回もまわったあるぷす丸は、アップをひろったみなとにかえってきた。そのみなとで、アップは
「ボクはいつかどこかで、こんなけしきを見たような気がするぞ……」
と、ふしぎな気持ちになった。そして船のタラップをかけおり、とことこかけていった。まちのあちこちをむちゅうで見てまわった。そのとき、みなとのほうから、船の汽てきが……。
「たいへんだ!出こうの合図らしいぞ!」
 アップは、今きた道をむちゅうでかけだした。ところが、あるぷす丸は、さんばしをはなれ、すべるように出て行ってしまった!ワンワン、ワンワン……。アップは気もくるいそうになきつづけた。しかし、船にはもうとどかない。
「ひどいよ。そんなのないよ。ボクをおきわすれて行くなんて!」
 ボクは、これからどうすればいいんだ!

  もしかしたら、あるぷす丸は、ボクをむかえにもどってくるかもしれない。そう思ったアップは、それからくる日もくる日もさんばしへでかけて行った。夏がすぎ秋になり、もうすぐ冬……。こんなにまっていたのに、主人の船はかえってこない。ボクはやっぱりすてられたのかもしれない……。

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