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3年生の今月の本


七つのポケット タイトル 七つのポケット
著者 あまん きみこ
出版社 理論社
 

「やっぱりここらかなあ。こっちのほうにころがったのに……」
  たけしくんが、野原でさがしものをしている。たいせつな、青いビー玉。大すきなよしこちゃんにもらった、たからもの。

  そのとき、草のあいだにみょうなものが見えた。みどり色のちっこいもの。
「へえ、かっぱ!」
  ゴムでできている、中ゆびぐらいのゴムかっぱ。そいつのあたまの上のさらは、土がついてからからのちゃ色。たけしくんは川のふちにいってかっぱをながれにつけてやった。きれいになったかっぱは、ぱちぱちっとまばたきをした。かと、思ったら、むきをかえて川の中にとぽん。
「へんだねえ。たしかに、ゴムかっぱだったはずなのに……」
 そしたらきゅうにひどい雨がふりだした。たけしくんはかけだした。おうちについてへやに入ると、きゅうにしずかになった。
「雨がやんだんだ」
  ふりむいたとたん、たけしくんはいきをのんだ。
「まどの外になにかいる!」
  みどり色でちっこいもの。うごくもの。……そいつが、たけしくんのほうをむいて、小さな手をふっている……。

●『だれかさんのぽけっとのなかには、たいてい一つのおはなしがはいっていますって。 せんたくをしたって、アイロンをかけたってきえません。ちゃあんとはいっていますって。』 と、前書きされた、七つの短編童話集です。なんともふしぎで、なんだかほっとするお話たちを、寝る前に親子でいっしょに一話ずつ読んでみると、幸せな夢を見られそうです……。

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