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4年生の今月の本


トレモスの風屋 タイトル トレモスの風屋
著者 小倉 明
出版社 くもん出版
 

「船のついた港や放課後の小学校 オムレツのうまいレストランや小さな花屋 牛が草を食む農場や深い緑の森 そんなトレモスのずっと高い空を飛ぶ 不思議な鳥がいる その鳥に会いたいとねがった これは風屋の物語です」

  風屋とは、トレモスの町にしかない、めずらしい仕事です。漁師が海にあみをながすように、風屋はくもの糸のように軽いあみを空にながして、ロゼルというすきとおった風の精をとらえるのです。

  とらえられたときはすきとおっているロゼルですが、三日もたつと、風屋の銀色のかごの中で、鳥ににた美しいすがたをあらわします。そうしてすがたをあらわした、ガラス細工のような美しいロゼルを、トレモスの町の人たちは、けっこん式やたんじょう日におくる習慣があるのです。

  わか者アルトは、風屋の職人リオンのもとで、助手をつとめています。まだ、自分ひとりであみをながしたことはありません。

 アルトが風屋の弟子入りを決めたのは、一羽の不思議な鳥との出会いがきっかけでした。ゆうびん配達の仕事をしていたアルトが、その日の配達をおえて、広場のベンチで休んでいた時のことです。鳥かごをもった男がやってきて、となりにこしをおろしました。鳥かごの中の鳥を見たアルトは目をみはりました。かごの中に入っていたのは、今までに一度も見たことのない、美しい鳥だったからです。その鳥を見ていると、なぜか心のなかが悲しみでみたされ、しんとすみきってくるようでした。美しい鳥は、人の心を動かす、なにか特別な強い力をもっているようでした。

  かごの持ち主がさったあとも、アルトの心は美しい鳥のことでいっぱいでした。あの鳥は、風の精ロゼルとはちがっていましたが、ロゼルのひとつの種類なのかもしれないと思いました。ロゼルをとるのは風屋のしごとです。鳥かごの持ち主は、風屋ではないだろうか、とアルトは思いました。

  そして、ある日とうとう風屋のもとをたずねました。そこで出てきたのがリオンだったというわけです。

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