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4年生の今月の本


にこりん村のふしぎな郵便 タイトル にこりん村のふしぎな郵便
著者 茂市 久美子
出版社 ポプラ社
 

 にこりん村の郵便局は、山の中の小さな郵便局です。ぽかぽかとあたたかい春のある日、郵便局のポストからおかしなハガキが出てきました。ひどくひんまがった字で、こんなことが書いてありました。

村のみなさんへ
 ちかごろ、おだんごやおまんじゅうがあがりません。
 とってもさみしいです。
 どうか、おだんごやおまんじゅう、あげてくさい。
 いっぽんまつのじぞうより

 局長さんは、ハガキをみると、ぷっとふきだしました。「あげてくさい」なんて、どこかの子どものいたずらだろうと思いました。でも、それがきっかけで、局長さんは、子どものころ、おばあさんやおさななじみのはなちゃんとそのおじぞうさまの前で遊んだことをなつかしく思い出しました。あのころとちがって、ちかごろ、おじぞうさまにおそなえする人などみあたりません。きゅうに、おじぞうさまが気のどくになってきました。

 その日、局長さんはしごとがおわってから、村のお店をのぞきました。でも、その日はおだんごもおまんじゅうも売りきれていて、シュークリームしかありませんでした。しかたなく、それをかって、おじぞうさまのところへ行きました。

「いやあ、なつかしい」
 局長さんは自転車をおりて、おやっと目をみはりました。おじぞうさまはひとつだったはずなのに、よこにふたつも小さなおじぞうさまが立っていたのです。しかも、ふたつのおじぞうさまは後ろをむいています。へんなおじぞうさまだなと思ってよくみると、ひとつのおじぞうさまには茶色い耳が、もうひとつのおじぞうさまには、耳ばかりかしっぽまでついているのです。

「きょうのところは、これでかんべんしてください」
といって、シュークリームをおそなえすると、しっぽのある小さいほうのおじぞうさまが、
「はい」
と返事をしました。

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