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> おけちゅう
タイトル | おけちゅう | |
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著者 | ミキオ・E | |
出版社 | NTT出版 | |
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「きのう、おけちゅうを見たよ」 おけちゅうは、一人の中年をすぎたおじいさんだった。いや、むしろ年寄りだけれど、ただの老人ではなかった。 赤黒くてらてらと光る頭と、丸太ん棒(まるたんぼう)のように太い腕をした大男で、ときには、大声をあげて子どもをこわがらせるのだ。ぼくらは、この、おけちゅうという名前以外、本当の名前も、仕事も、住んでいる場所さえ誰も知らない。めったに会えることもない、このふしぎなおじいさんを、ぼくらはこわい「かいぶつ」や「おばけ」のようにおそれていた。 だけどぼくらは、おけちゅうの話をするのが好きだった。 だいいち、おけちゅうという名前のひびきがおもしろかった。まるでおしりの「おけつ」がそのまま名前になったようだったからだ。 この、おけちゅうのいる町に引っ越してきたぼくは、通学路がみんなとちがっていたため、じつは、おけちゅうをしょっちゅう見かけていた。ぼくは、おけちゅうのあとをつけることにした。そして、とうとう、おけちゅうの家をみつけたのだ。 【 近所のおじさんを勝手に怖いもののように思ってしまう、小学生ならではの心理、恐怖の裏返しの好奇心、そして愛情といった細やかな気持ちが大変丁寧に描かれています。軽妙なタイトルが、いい意味で期待をうらぎる、まわりの人への思いやりにあふれた本です。】 |