本当は平屋建てで、三十の教室が横一列にずらりとならぶはずだったウェイサイド・スクール。

　だけど、どういう手ちがいからなのか、三十階建ての学校になってしまった。

　おかげでこの学校の生徒は校庭に遊びに行くのにも、ランチを食べに食堂に行くのにも、先生のおつかいで他のクラスに行くのにも、長い長い階段をのぼりおりしなければならない。

　この本で活躍するのはその学校の最上階の三十階にあるクラスのみんな。先生を含めた一人ひとりが主人公になったお話が約三十編描かれている。

　最初に登場するのはこわーいゴーフ先生。ゴーフ先生はさわいだり、計算の答えをまちがえたりする子どもがいたらおかしな魔法でその子をリンゴに変えてしまう。

　三十階クラスのジョーは足し算が苦手で、クラスメートのジョンの答えを写していたところをゴーフ先生に見つかった。ゴーフ先生はとがった耳を右・左とぴくぴくっと動かし、舌をべーっと突き出した。するとジョーはたちまちリンゴにされてしまった。つづいてジョンもリンゴに変えられてしまった。答えを写させてやった罰だった。
「ひどいよ、先生」
といったトッドもあっというまにリンゴに変えられてしまった。

　子どもたちはこわくてこわくて、放課後、家に帰ってからも、学校で何があったか父さんにも母さんにも言えなかった。