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4年生の今月の本


旅のくつ屋がやってきた タイトル 旅のくつ屋がやってきた
著者 小倉 明
出版社 アリス館
 

 バドの父親のやっているホテルは町の小さなホテルでした。豪華なベッドはないけれど、感じのいい応対ときれいなシーツ、おいしいパンが評判でした。

 そのホテルにある日、旅のくつ屋がやってきました。彼の仕事は街角で店を開き、注文に応じて新しく靴を作ったり、直しもする仕事でした。

 くつ屋はホテルのチェックインをすますと、ホテルの手伝いをしていたバドに話しかけました。

「ちょっとここへきて、きみのくつを見せてごらん」

 そして、あっというまにくつにあいた穴を修理してしまいました。

 この見事なできばえに、このようすを見ていた人たちは、みんなすっかり感心してしまいました。そして、このくつ屋はたちまち、評判のくつ屋となったのです。

 バドはくつをなおしてもらったことをきっかけに、くつ屋とうちとけ、夕食が終わった後などに、いままでくつ屋が旅してきた美しい町の話を聞かせてもらっていました。そして、自分も大きくなったら旅のくつ屋になって世界中の町をまわりたいと思いました。

 ある日のこと、バドはお使いの帰りに、くつ屋が店じまいしているのを見かけました。くつ屋は店じまいを終えると、ホテルとは反対の方向に歩き始めました。バドはくつ屋がこれからどこに行くか気になって、後をつけてみることにしました。

 すると、くつ屋は、店の中をのぞいたり、表札をじっと見つめたり、なにかメモをとったりしていました。しかも、まるで地図を作ろうとするかのように、きちんとじゅんばんに調べながら歩いていくのです。その真剣なようすに、バドはとうとう声をかけるチャンスを失ってしまいました。

 バドがその晩、父親のリードになにげなくこの話をすると、父親はたいへん驚き、バドにこれから今すぐ町のまん中にある『槍の塔(やりのとう)』のてっぺんに上がるようにといいました。

【 楽しげな物語がくつ屋の謎の行動から一変、緊張した物語へと変貌します。人を信用することについて考えさせられる物語です。】

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