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4年生の今月の本


ビクトルの新聞記者大作戦 タイトル ビクトルの新聞記者大作戦
著者 ジョルディ・シエラ・イ・ファブラ
出版社 国土社
 

 ビクトルは、本を読むのが大好きな少年だ。夢は作家になることだった。有名な作家になって、ノーベル賞をとるのだ。そしたら、一躍インディー・ジョーンズなみの人気者だ。

 だからビクトルは、ある作家が学校へやってきて、自分の本についてみんなと語り合う会がある、という話を聞いたとき、飛び上がらんばかりに喜んだ。ビクトルたちはその会までに、その作家の本を一冊読んで、国語の授業でさらっておくことになった。

 正真正銘(しょうしんしょうめい)の作家に会える! ビクトルは、みんなが三か月かけて読む本を、三日で読み終えた。しかし、会は三か月も先。そこで、会の時間内で聞きたいことを残らず聞けるよう、準備をしておくことにした。まずは、その作家の本を買いこむことだ。

 おとうさんは、ビクトルの読書欲に目を見張った。おかあさんは、ビクトルの意欲に胸をつまらせた。おとうさんのさいふのひもは、もちろんゆるめられた。実をいうと、ビクトルのこづかいは、ずっと帳消しになっていた。ものをこわすたびに、さっぴかれるからだ。ビクトルは、本を読みあさった。「ビクトルも、とうとう、変わるときがきたみたいね」おかあさんは、毎日目を丸くして、おとうさんに告げた。

 そうこうするうちに、「作家と話すつどい」の日がやってきた。しかし、その会はやはりただではすまなかった。「質問がある人」と作家が呼びかけたとき、一番に質問をしたのはビクトルだった。「物語を書き始めたのはいつですか。書きたいとおもったのはなぜですか」作家が答える。すると、ビクトルが立って、二つ目の質問。そして、三つ目、四つめ、五つめ……。ほかの子の手もあがったが、ビクトルがすかさずその子をにらみつけた。

 こうして、「作家と話すつどい」は、「作家とビクトルが話すつどい」になった。会が終わったとき、ビルトゥーデス先生は、死んでしまいたい気分だった。 作家に、「熱心な作家の卵くんのおかげで、楽しませてもらいました」といわれ、先生は青ざめた。さらに、「いい生徒さんをおもちですね」のことばには、声も出なかった。

 いっぽうの、ビクトル。作家のことばが、ぐるぐるうずをまいていた。
「たとえば新聞を作るという手もあるよ。仲間を集めてやってみてごらん」


「新聞」
――何で、もっと早く思いつかなかったんだろう!
  ビクトルは、高らかに宣言した。
「新聞を作ろうぜ!」

【 新聞を作る仲間を募集したビクトルですが、名乗り出たのはたったの二人。それも、よりによって、こんなやつらとは! 一人はイラリオ。学校行事だっていつもパスするやつが、いったい何しにきたんだろう。もう一人は、レヒーナという女の子。二つも年下のこんなチビスケに、記者がつとまるもんか。とんだのが、きたもんだ!

 さて、ビクトルの新聞作りはどうなることでしょう。スペイン人の作家の手になるこの作品は、世界各国で翻訳され、子どもたちの人気を集めています。】

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