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4年生の今月の本


カエルのくれたおくりもの タイトル カエルのくれたおくりもの
著者 ナンシー・ホープ・ウィルソン
出版社 あかね書房
 

 学校からの帰り道、ぼくにはひとつ、にがてなことがあるんだ。

 ぼくの名前はアルバート。小学四年生だ。ぼくのにがてなこと、それはパイン老人ホームの前を通らなければならないことだ。知らないお年よりに声をかけられるから、どうしていいかわからなくていつも困るんだ。

 家に帰ると、一通の手紙がとどいていた。おばあちゃんからだ!
「読むの手伝おうか?」
とお母さんが言ったけど、ぼくはもうふつうに読めるんだ。明日、友達のスピアーさんと読もう。スピアーさんは、週に2回ある読書の時間に来て、ぼくたちが声を出して本を読むのを聞いてくれる。おばあちゃんの手紙はおもしろいから、きっと喜ぶぞ。

 次の日、スピアーさんがやって来た。
「今日、スピアーさんに、聞いてもらいたい人は?」

 ダリ先生がたずねた。ぼくが一番に手をあげたはずなのに、先生はティファニーをさした。ティファニーとスピアーさんは図書室へ歩いて行った。

 次はぼくの番! ぼくは待ちきれなくて4分も早く図書室に着いてしまった。思ったとおり、ティファニーにおこられた。

 やっとぼくの番だ。ぼくはつっかえながらも最後まで読むことができた。
「おや、きみは、もうふつうに読めるんだね。」
とスピアーさんは言った。
「きっともうすぐ、目で読まないで、ちゃんと読めるようになるよ。」

 ぼくはわらった。
「えー、うそーっ!そんなの、だれもできっこないよ。」

 でもスピアーさんは何かとっておきの方法を知ってるみたい。
「今にわかるさ。」

 スピアーさんはにんまりわらった。

 しばらくたったある日、ぼくがいつも通り読書の時間を楽しみにしていると教室のドアをたたく音がした。あれ? スピアーさんはノックしないで入ってくるのに……。

 入ってきたのは校長先生だった。ダリ先生となにかしんこくそうに話している。校長先生が出て行くと、ダリ先生は言った。

「スピアーさんが、入院されました。脳こうそくだそうです。」

【 しばらくしてスピアーさんは退院することになり、あるところでくらすことになります。その場所とは――。またアルバートが「目で読まない」とはどういうことか、わかる日はくるのでしょうか? 本を読むことの楽しさを知った少年のお話です。】

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