シュイーーン！！　ぼくの頭の上を、ゴルフボールくらいの石ころが飛んでいった。
「こらーっ、どろぼうねこ！」
　 ししゃもをくわえ、いちもくさんににげだしたぼくを、魚屋のおやじが追ってくる。にげ場を失ったぼくは、発車まぎわのトラックにとび乗った。助かった！　だがそのとき、おやじが投げつけたモップがあたって、ぼくは気を失ってしまう。気がつくと、トラックはすごいスピードで走っていた。トラックは、ぼくの知らないトウキョウというラックからとびおりた。

　と、そこへあらわれたのは、とてつもなく大きなトラねこ。そいつが、ぼくのししゃもを横取りしようとするので、ぼくは
「そんなにほしけりゃ、くれてやる。このさんぞくねこ！」
と、つい言ってしまった。

　後ろから
「ちょっと待て」
と、トラねこの声が…。だめだ、やられる！　だが、トラねこは
「おまえ、おれがこわくないのか」
と言って近づいてきた。