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タイトル |
それぞれの名前 |
著者 |
春間 美幸 |
出版社 |
講談社 |
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第一章 岡田ユカ
今日から5年生になるわたしとチーちゃん。わたしたちは一卵性の双子。顔も体型もそっくり。そのうえ、服装も髪型も常におそろい――だからわたしたちはしょっちゅうまちがわれちゃんだ。
同学年の友だちは「ユーちゃん」「チーちゃん」と呼ぶけど、小黒君と千代田君だけ呼ばない。小黒君は、「チユー」と呼ぶ。「しょうがねえだろ。おまえらの名前、どっちがどっちだかややこしいんだから」といい、「チカ」と「ユカ」を混ぜて「チユー」と呼ぶ。わたしは、まちがった名前で呼ばれるより、混ぜた名前でよばれるほうがずっといい。だけど、チーちゃんは「ユーちゃん面白がっちゃだめだよ。好きな人にはちゃんと自分の名前を呼んでもらいたいでしょ。わたしは、千代田君に見分けてもらえたり、名前で呼んでもらえたりしたら、最高に嬉しいけどな。」と言う。
第二章 小黒ケンヤ
名前を考えるのって、めんどうくさい。
「あはは、やだあ。ユーちゃん」
「チーちゃんこそ、笑わせないでよお」
この席になってから、顔を見なくても二人の声が聞き分けられるようになってきた。
「あたし、なんど思い出しても笑っちゃう」
こっちがチユーアネの声。はきはきした声でせわしなく話す。
「わたしも。授業中、思い出し笑いしそうになっちゃった」
こっちがチユーイモの声。おだやかな声でゆっくり話す。ちなみに、「チユーアネ」と「チユーイモ」ってのは、チユー二人を分けた呼び名。「アネ」は「姉」で、「イモ」は「妹」の略。前はどっちも「チユー」でひとくくりにしてたけど、さすがに二人いっしょのクラスだと、分けなきゃ不便だったんだよね。名前をつけるのが苦手なおれにしては、いい呼び名になったと思う。
●この物語は、タイトルのとおり「それぞれの名前」にまつわる物語です。岡田ユカ、小黒ケンヤ、岡田チカ、葉月ヒロト、野中モエ、千代田ノゾミの6人の視点から語られる「自分の名前」を軸に、友情や家族のつながりを織り交ぜながら、ストーリーが展開していきます。
「好きな人に名前を呼んでほしい」や「女の子みたいな名前で、自分の名前が好きじゃない」など、『名前』に抱くそれぞれの想いに共感する人もいるでしょう。また、この機会に自分の名前の由来もおかあさんやおとうさんに聞いてみましょう。
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