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4年生の今月の本


川べのゆかいな仲間たち タイトル 川べのゆかいな仲間たち
著者 ケネス・グレアム
出版社 講談社
 

 春のはじめ、大掃除をしていたモグラくんは、突然家を飛び出しました。
「こんなことをしちゃいられない。ぼくには、ほかにすることがあるんだ」
  実はそれが何なのか、モグラくんにも分かりませんでした。でも、とにかく外へ出てみたかったのです。

  もこっ! 顔を出したそこは牧場。モグラくんは、いきおいよく立ち上がると、めちゃくちゃに走り出しました。すると、目の前に、キラキラと輝く、大きくて長い長い生きもののようなものがいます。そうです。それは、川でした。モグラくんは、生まれてはじめて川を見たのです。

 ふと、土手の方を見ると、誰かいます。
「ねえ、きみ。こっちへこないか。話し相手がほしかったところなんだよ」
 それは、川べの土手に住むネズミさんでした。ネズミさんは、水草のかげから、空色のボートを出してきました。
「さあ、どうぞ」
 2人は、ボートに乗って、色々な話をしました。
「ネズミさんがうらやましいな。こんなに楽しい川のそばで暮らせるなんて」
 その言葉に、ネズミさんが答えます。
「自分でも、いい暮らしだと思ってるよ。川は、わたしの家であり、町であり、国であり、世界だ。川には、わたしののぞむもののすべてがある。友情も信頼も、愛も恋も、喜びも幸福も、知恵も勇気も、美しいもののすべてがここにあるんだ」

 いつの間にか、あんなに青かった空が、赤く変わり始めていました。
「あのね、ネズミさん」
 モグラくんは、さっきから言いたくてたまらなかったことを、とうとう口に出しました。
「1日中ボートに乗せてもらって、わかったことがあるんです。それは、ぼくにもきっとボートがこげるっていうことなんです」
 モグラくんは、そう言ってネズミさんの手からオールをもぎとろうとしました。ボートが大きくかたむきます。
「あぶない!やめなさい!」
 その途端、ジャッポーン!ボコボコボコ。

  その日の夜、川に落ちてしまったモグラくんは、ネズミさんのベットの中にいました。

「ぬれた服のまま帰ったら、風邪をひく。今日はとまっていきなさい」

 ネズミさんは、 そう言ってくれたのです。これが、川べで暮らすようになったモグラくんの、最初の1日に起こった出来事となりました。

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