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4年生の今月の本


屋根うらべやにきた魚 タイトル 屋根うらべやにきた魚
著者 山下 明生
出版社 岩波書店
 

 ま、世界中にいくつ家があるのか知らないけれど、ぼくんちほどおもしろいところは、あまりないと思うな。うそだというなら、きてみてよ。ぼくの家は、瀬戸内海の小さな島にある。れんらく船の船着き場から、海ぞいの道をどんづまりまで歩き、さらにとびが鼻というみさきをこえれば、ぼくの家が見える。といっても、そこは陸じゃない。海なんだ。ぼくの家は、入り江にうかぶいかだの上にある。

 うちのとうちゃんは、造船所ででっかいタンカーをつくる仕事をしていた。それなのに、きょ年の春、十五年もつとめた仕事を、あっさりやめた。そして、この入り江にひとりでいかだを組みたてて、魚のようしょくをはじめることにしたんだ。

 いかだの上に、屋根うらべやのある小屋をつくったのも、とうちゃんなんだ。屋根うらべやは、もうすぐ四年生になる、ぼくの勉強べやにするつもりで、とうちゃんが改造してくれた。古い船のいらなくなった材料を持ちこんでね。だからほら、まどは船室についていた丸窓だし、ベッドも船乗りが使っていた二だん式のやつ。ソファも、見かけはおんぼろだがごうか客船の船長室にあったものだから、すわってごらん、おしりがふかっとうまるだろう。

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