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> びりっかすの神さま
タイトル | びりっかすの神さま | |
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著者 | 岡田 淳 | |
出版社 | 偕成社 | |
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始は新しい学校に転校してきた。今日から始の担任になる市田先生が、始の肩をぽんとたたく。 なじみのないろうかと階段をあるき、先生のあとについて、教室にはいった。知らない顔がこちらを見ている。どの顔も、みょうにのっぺりした顔に見えた。先生にうながされて、ひとことあいさつするために、一歩まえにでる。「ぼくは…」そこでことばをうしなった。とんでもないものが見えたのだ。目のまえ、一メートルほどのところに、すきとおった男があらわれた。二十センチくらいの大きさの男は、くたびれた背広とよれよれのネクタイで、背なかには小さなつばさがあった。気のよわそうな顔つきで、目をしばたかせながら五十センチくらいをはたはたととんで、ふっときえてしまった。 いまのはなんだ。そう思ったとき、みんなのわらい声で、われにかえった。顔がまっかになるのを感じた。席につくとけいこう灯のはしに腰かけた男がまた見えた。胸がどきどきしはじめる。ほかのだれもその男の方を見ていない。見えないらしい。なぜ自分には見えるのだろう。算数の時間やテストをかえす時間、男を見ていて、とつぜん始はきづいた。男は最低点をとったもののところにやってくるのだ。 そうして、始はすごいことを思いついた。あの男をよびよせることにしたのだ。かんたんなことだ。いちばんわるい点、0点をとればいいんだ。 |