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> ねこが見た話
タイトル | ねこが見た話 | |
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著者 | 高楼 方子 | |
出版社 | 福音館書店 | |
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オイラはのらねこ。ずいぶんまえから、ここにすみついている。うろうろしながらくらしていると、いろんなものを見るぜ。 ちょうどひと月まえ、父親と母親と小学生くらいのむすこの三人家族が、ずっと空き家になっていた、ちっぽけな家にやってきた。あんないしてきたのは、見かけない小さなばあさんだった。きっと大家なんだろう。ひどく年をとったわりに、女の子のおかっぱのように、かみを切りそろえているのが、なんだかみょうだった。 けっきょくこの家族は、その家にこしてきた。それから十日ほどすぎた月のあかるいばんだった。 しばらくして、家族のようすが、どうも、まえとちがうことに気づいたんだ。まず、三人とも、あのばあさんのようにかみがおかっぱみたいになってきた。そのうえ、ぜんたいに、ぷっくらしたかおつきになってきた。もうひとつ、ちょっとぶきみだけど、三人とも、ひとまわり小さくなっていたのだ。 つぎの朝になると、三人とも、まえとおなじかみ、おなじ大きさのままだった。しかし、ばんめしがおわるころになると、またしても……。ひっこしてひと月たった日、三人はどうなったか。とうとうキノコとおなじ大きさになり、家族そろってなにしていたとおもう? おにごっこだぜ。ケラケラわらいながら三人は、運動場にいるみたいにはしりまわっていた。たしかに家がやけに広く見える。ばあさんのいったとおりになったんだ。 |