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4年生の今月の本


地獄の悪魔 アスモデウス タイトル 地獄の悪魔 アスモデウス
著者 ウルフ・スタルク
出版社 あすなろ書房
 

 お日さまの光もとどかなければ、小鳥の声もきこえない、地面の下のおくふかいところに、地獄(じごく)があります。地獄に住む悪魔のむすこのアスモデウスは、ある日、ストーブの前にすわって、せんめんきのお湯で足のつめをあらっていました。いとこや兄弟たちは、ののしりあったり、まっ赤にもえる炭(すみ)を投げあったりして、好きかってにさわいでいるというのに……。

「アスモデウス。どうしておまえは、ほかの子たちみたいにあそばないの?」

 ママは、ブッハと大きな音をたてて、片手(かたて)ではなをかむと、その手でアスモデウスの頭をなでました。

「だって、ほのおのパチパチいう音をきいてると、それだけで楽しいんだもん」

 アスモデウスはこたえました。

 悪魔の中の悪魔で、地獄の支配者でもあるパパは、大きなため息をつきました。

「アスモデウス、がっかりさせるようなことをいうんじゃない。おまえときたら、あばれたこともなければ、だれかをいじめたこともない。意地悪(いじわる)や、おこりんぼうって、ほめられたこともないだろう? お前には、悪魔の子としての自覚(じかく)がたりない。そんなんでは、しょうらい、わたしのあとは継(つ)げないぞ。どうしたものかね?」

 その日の夕食の時間、とつぜんパパが立ち上がって、あらたまった声で言いました。

「アスモデウスを、光あふれる地上におくりだす」

「ええっ?」

 みんなの顔がいっせいに青ざめました。

「わたしの息子であることを証明(しょうめい)するのだ。人間をひとりたぶらかし、魂(たましい)をうばって、わたしにとどけさせる」
 パパから魂をくれそうな人間の見つけ方を教えてもらったアスモデウスは、いざ、地上に行くことになったのですが……。

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