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> 地獄の悪魔 アスモデウス
タイトル | 地獄の悪魔 アスモデウス | |
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著者 | ウルフ・スタルク | |
出版社 | あすなろ書房 | |
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お日さまの光もとどかなければ、小鳥の声もきこえない、地面の下のおくふかいところに、地獄(じごく)があります。地獄に住む悪魔のむすこのアスモデウスは、ある日、ストーブの前にすわって、せんめんきのお湯で足のつめをあらっていました。いとこや兄弟たちは、ののしりあったり、まっ赤にもえる炭(すみ)を投げあったりして、好きかってにさわいでいるというのに……。 「アスモデウス。どうしておまえは、ほかの子たちみたいにあそばないの?」 ママは、ブッハと大きな音をたてて、片手(かたて)ではなをかむと、その手でアスモデウスの頭をなでました。 「だって、ほのおのパチパチいう音をきいてると、それだけで楽しいんだもん」 アスモデウスはこたえました。 悪魔の中の悪魔で、地獄の支配者でもあるパパは、大きなため息をつきました。 「アスモデウス、がっかりさせるようなことをいうんじゃない。おまえときたら、あばれたこともなければ、だれかをいじめたこともない。意地悪(いじわる)や、おこりんぼうって、ほめられたこともないだろう? お前には、悪魔の子としての自覚(じかく)がたりない。そんなんでは、しょうらい、わたしのあとは継(つ)げないぞ。どうしたものかね?」 その日の夕食の時間、とつぜんパパが立ち上がって、あらたまった声で言いました。 「アスモデウスを、光あふれる地上におくりだす」 「ええっ?」 みんなの顔がいっせいに青ざめました。 「わたしの息子であることを証明(しょうめい)するのだ。人間をひとりたぶらかし、魂(たましい)をうばって、わたしにとどけさせる」 |