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4年生の今月の本


ドアの向こうの秘密 タイトル ドアの向こうの秘密
著者 三田村 信行
出版社 偕成社
 

 その日、いつもより家にかえるのがおそくなった「ぼく」は、おおあわてで自転車を走らせた。「ぼく」のお父さんは帰宅時間にとてもきびしくて、このあいだも習字の帰りに友だちとあそんでいてうっかり帰りがおくれ、しめだしをくらったことがある。

「たいへんだ。またしめだされちゃうぞ。」

 おそるおそるげんかんのドアに手をやると、ドアはあいていた。どうやら父さんはおこってないらしい。「ぼく」はほっとした。そして、なるべくしょんぼりした声で、
「ただいま……。」 
と言った。けれども返事はない。

 そのとき、「ぼく」はヘンなことに気づいた。家の中がまっくらなのだ。そのうえ、あかりをつけようとスイッチをさがしたけれど、どこにも見つからない。さらにもう一つおかしなことがあった。廊下(ろうか)がずいぶん長いのだ。うちの家は、げんかんをあがるとみじかい廊下があって、すぐつきあたりはトイレ、右手はリビングにつうじている。

 それなのに、いつまでたっても廊下がおわらない……。

 すっかりこんらんしたぼくは、まっくらやみのなかを手さぐりですすんでいった。
「だれかいないの!」
  そうさけんでみたけれど、やっぱり返事はない。しかたなくそのまま前にすすむと、やがて見たこともないへやに出た。小さなそのへやは、一面白いカベに囲まれていて、窓はない。それなのにみょうに明るい。そのとき、だれかの話し声がきこえてきた。どうやらその声はこのカベの向こうからきこえてくるらしい。

 カベにあった細いわれ目からのぞくと、おどろいたことにそこは「ぼく」の家のリビングなのだった。ソファには、いつものようにお父さんとお母さんがならんですわっている。「見まちがいじゃなかった。そこは、いまごろはぼくをまじえて三人で夕食をとっているはずのリビングだ。」 そして「ぼく」は二人の口からとんでもないことをきいてしまう……。

【 だれもが毎日なにげなく開けたり閉めたりしているドア。でも、そのドアがとつぜんいつもとちがう世界とつながったら……? ドアにまつわるきみょうなお話をあつめた作品集です。上にしょうかいした「窓のないへや」のほかに、4つのお話がのせられています。ちょっとゾクっとするようなお話です。本屋さんにないときは、図書館でさがしてみてください。】

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