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4年生の今月の本


もしもしウサギです タイトル もしもしウサギです
著者 舟崎 克彦
出版社 ポプラ社
 

★『もしもしウサギです』:その日、お母さんからおつかいをたのまれた卓(たく)はふきげんでした。わたされたメモは卓のしらない漢字やカタカナばかりだし、空はどんよりくもっていておまけに雨までふってきた。

(ほらみろ。だからいやだっていったんだ。そうだ、あそこに入ってすこしまってみよう。)

 電話ボックスにはいった卓は、でもすっかり心ぼそくなってしまいました。そのときです、いきなり電話がジリリリリ、となったではありませんか。
「もしもし、もしもし。」
  受話器(じゅわき)のむこうから、ききなれない声がひびいてきました。
「もしもし。あなたはあなたですね。早くあれをとどけてください。」 
「あれ、ってなんですか。」 
「あれはそれです。さっきたのんだじゃありませんか。」

 いらいらした声でつづける相手に、ぼくは言った。
「きみはだれさ。」 
「ウサギです!!」

 こんなこと言われて耳をうたがわない人がいるでしょうか? 卓はいきでまっしろにくもった電話ボックスのガラスを、手でふいてみました。するとどうでしょう。そとはいつのまにかお日さまがふりそそぐいい天気になっているではありませんか。それに目の前は公園だったはずなのに、いまはずっととおくまで畑がひろがっていたのです。どういうこと?どういうわけ? 卓はウサギに言われるまま、電話ボックスを出るのですが……。

★『ネコのパラソル』:「ぼく」のうちにはネコがいる。名前はパラソル。おねえさんのパラソルはネズミもとらないし、ちかごろはエサもたべたがらない。ある夜のこと、トイレに行きたくなったぼくがベッドをおりてなにげなく窓のそとをみると、三日月がすごくきれいじゃないか。それはいいんだけど、なんとその三日月にネコのパラソルがすました顔ですわっていたからビックリしてしまった。それが屋根のうえにならばせたネズミにカメラをもたせて、どうやら記念写真をとっているところらしいんだ。パラソルがネズミをとらないわけがわかったよ。それに、もう何日かあとにはエサをたべない理由もわかった。とにかくパラソルはふつうの猫じゃないんだ。

 とっても優し(やさし)いとなりのおねえさんに赤ちゃんが生まれ(うまれ)て、引っこして行ったときなんて、ネズミにこっそりこんなことを言ってるんだから。
「赤ちゃんが生まれたら、おむつをはこんだり、ミルクのカンにふたをしたり、せんたくものをほしたりしてあげなさい。きっとよろこばれるわョ。」

 こんな調子(ちょうし)なんだから、ほんとにあきれるやら感心(かんしん)するやら。

 パラソルのひみつはまだまだある。夜中、家のまえでおおさわぎする学生たちに家族みんなが大めいわくしていたとき、パラソルはこっそりかつやくしてくれていた。生まれたばかりのぼくの妹が夜泣き(原因はてんじょうを走りまわるネズミたち!)でこまったときも、やっぱりパラソルが解決(かいけつ)してくれた。

 それでいて、お母さんのまえではなんにも知らないような顔して舌をだしてるんだからまったく大したやつだよ。でもそんなパラソルのこと、もっとみんなに教えてあげたいな。

【 『ふしぎの国のアリス』や『注文の多い料理店』を思わせるお話、『もしもしウサギです』。しっかりものでだいたんな猫がかつやくする『ネコのパラソル』。どちらもユーモラスでふしぎで、なによりかしこい動物たちと子どもとのやりとりがテンポよく描かれていて、いっきに読んでしまいたくなるお話です。ほかに、気のいいリスの冒険(ぼうけん)旅行『ジタバタの誕生日』、皮肉たっぷりにえがかれた『王さまだらけ』など、全部で五つのお話が入っています。動物好きの人もそうでない人にもおすすめの作品です。】

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