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4年生の今月の本


おばけ桃の冒険 タイトル おばけ桃の冒険
著者 ロアルド・ダール
出版社 評論社
 

 両親がサイに食べられてしまってからというもの、ジェームス少年の生活はまったくかわってしまいました。いっしょにくらすことになったスポンジおばさんとスパイカーおばさんは、とんでもなくおそろしい人だったのです。二人はわがままでなまけ者で、おまけに理由もないのに、ジェームスをたたくのでした。

 そんなある日。やけるように暑(あつ)い夏の日、丸太切りを命(めい)じられたジェームスは、庭のはしっこでひとりで泣いていました。すると、ジェームスのところに、ひとりの老人(ろうじん)がやってきました。みどり色の服をきて、はげた頭と顔がすごく大きな、とても奇妙(きみょう)な人でした。老人はジェームスに、小さなふくろをくれました。

「見てごらんよ。」

 ふくろの中には、宝石(ほうせき)か水晶(すいしょう)のような、小さくてみどり色をしたものが見えました。とても美しく、ふしぎな光をもってキラキラとかがやいているのです。おまけに、まるで生きもののようにゆっくり動いているではありませんか。

「大きい水さしの中にこのつぶを全部入れるんだ。つぎに、おまえさんの頭からかみの毛を十本だけぬきとって、それも入れなさい。」

 そうすると、途方(とほう)もない、とても信じられないようなことが起こりはじめる、と老人は言いました。ジェームスはすぐに言うとおりにしようとしましたが、庭にある桃(もも)の木の下で、ペシャンと転んでしまったのです! ふくろは破れ、あのみどり色のものは散(ち)らばって、ものすごい早さで消えてしまいました。

  しかし、次のしゅんかん、桃の木が実をつけたのです。この桃の木はずいぶん年をとっていて、一度も実をつけたことはありません。なにかが起ころうとしているのです。桃はたったの三十秒(びょう)でメロンの大きさになり、つぎの三十秒で、メロンの二倍にふくれあがりました。この桃のおばけは、それから一分たつと、ふとっちょのスポンジおばさんくらいの大きさにまで太り……とうとう小さな家くらいの大きさにまでふくれあがりました。

 おどろくことは、それだけではありません。桃のよこばらにあいていた穴に入り、はいながらトンネルをすすんでいくと、ジェームスは固いものにぶつかりました。おばけ桃のトンネルを通って、まん中の種(たね)にぶつかったのです。種には小さいドアがついていました。中に入ると、
「きみを待ってましたよ!」
という声が。

 ジェームスはびっくりしすぎて、声を出すことができませんでした。なぜって? だって、大きな犬ほどもあるきりぎりすの老人と、大きなくも、それに大きなてんとう虫が、りっぱな椅子(いす)にすわっていたからです! それだけではありません。ソファーには大きなむかでとみみずが……この「生きもの」たちは、どれもこれも、少なくてもジェームスくらいの大きさでした。みんなはこのおばけ桃にのって、知らないところへ行こうとしていたのです。

【 さあ、おばけ桃に乗って、きみょうな生きものたちとジェームスのぼうけんが始まります。生きものたちはおたがいにどなったり、けんかをしたりしますが、みんなとても親切で、たよりがいがあるものたちばかり。せまりくるたくさんの問題を、ジェームスたちはどうやって解決(かいけつ)していくのでしょう? おばけ桃は、ジェームスたちをどこへつれて行くのでしょうか? さぁて、それは読んでのおたのしみです。】

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