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4年生の今月の本


みちこのダラダラ日記 タイトル みちこのダラダラ日記
著者 佐野 洋子
出版社 理論社
 

×月○日
 おにいちゃんは、ぜんぜん勉強なんかしていなくて、教科書とマンガを重ねてよんでいて、お母さんが来ると、さも勉強しているふりをする。そんなことぜんぜんお父さんはしらないもんだから、ばかみたい。
「ヒロシ勉強もいいが、ほどほどにしろよ」
だって。

 でもおにいちゃんは、テストはぜんぶ一ばんか二ばんなのでお母さんは
「ヒロシお医者さんにならない? まださきだけど、もくひょうをつくっておくほうがいいわね」
と先生みたいにいった。

   わたしはひとのことなのにむかついた。
   このごろわたしは、お母さんがむかつく。
   お母さんは、わたしよりおにいちゃんの方がすきだと思う。

  けさもめだまやきのくずれている方をわたしの方にだまっておして来た。わたしは知らん顔しておにいちゃんのめだまやきとかえた。

  牛乳の古いパックがコップ一こでなくなって、新しいのをあけた。お母さんは、古い方の牛乳をわたしの方においた。わたしはそれもしらん顔して、おにいちゃんのとかえてやった。お母さんは自分で気がつかないでしぜんにそうするのだと思う。だからしってやっているよりも、おにいちゃんのことがすきなんだとわたしにはわかる。

 きょうお母さんは、奈良の正子おばさんにでんわして、
「そうなのよ、おとこの子の方が、デリケートなのよね、むずかしいわ、そうそう、おんなの子の方が育てやすいわよ」
とかいっていた。

 おかあさんは、じぶんがおんなで、おとこになったことないのに、なんで、おとこの方がデリケートなのかわかるか、へんだとおもいます。

 わたしのこと育てやすいなんていったので、わたしのことかるく見てると思う。わたしはこころの中で「中学いったらぐれてやる」と思ったけれど、となりのせい子さんみたいに頭そめるのはかっこわるいから、ふくそうとか、頭とかはふつうにして、こころの中だけでぐれてやる。

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