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4年生の今月の本


なんでもただ会社 タイトル なんでもただ会社
著者 ニコラ・ド・イルシング
出版社 講談社
 

 その日、ぼくはおにいちゃんとふたりきりでるすばんをしていた。いつもの日とちがって、ぼくはたいくつでたいくつで、どうしようもなかった。

 そこで、ぼくはいいことを思いついた。電話だ! 電話でいたずらしてみよう。めちゃくちゃな番号をまわして、どんなところにかかるかためすんだ。ぼくは自分のたんじょう日の数字をまわしてみることにした。受話器(じゅわき)に耳をくっつけて、じっと聞いていると、ちょっと間をおいてよびだし音が鳴りだした。数秒(すうびょう)もしないうちに、たしかにだれかが受話器をとった。男の人の声だ。

「もしもし、こちらは『なんでも無料(むりょう)会社』ですが……。なにかご用でしょうか?」
電話のむこうにいる人をからかってやろうと思っていたぼくはびっくりして、まじめになってききなおした。

「あの……ずいぶんかわった、おかしな名まえだね……その会社は……なんでも無料だなんて!」

「ちっとも、おかしくとも、なんともありませんよ。」
声が、さっきよりも大きくなった。

「わたしどもの会社が『なんでも無料』というのはですね、その名のとおりの取引(とりひき)をしているからです。わたしどもは、おきゃくさまからご注文(ちゅうもん)いただくしなものをですね、なんでも無料でおとどけしているのです。だから『なんでも無料会社』という名まえなので、べつにむずかしいことじゃありません。」

 ぼくは、いつまにか、むこうの話にひきこまれ、すっかりむちゅうになっていた。そして、ぼくはこの会社の会員になることにした。会員になれば、なんでもほしいものを無料でとどけてもらえるんだから。

  会員になったあと、受話器のむこうの声はおちつきはらって、こう言った。
「ただ一つだけ、会員としてまもっていただかなければならない規則(きそく)のことをお話ししておきましょう。それはですね、しなものをご注文するとき、そのおわりに『ン』のつくものは、ぜったい注文してはいけない、ということです。だいじな規則なので、これだけは、しっかりおまもりくださるように、おねがいいたします。よろしいですね?」

【 なんでもほしいものをとどけてくれる、ふしぎな会社「なんでも無料会社」の規則って、とっても変ですね。(なんだかしりとりみたい。)いったい、何がねらいなのでしょう?

 この本の作者、ニコラ・ド・イルシングさんはフランスの作家です。小学校の先生をしながら、たくさんの本を発表している、人気のある作家なんですよ。身長が193㎝のノッポで、おかしが大好きなんだそうです。】

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