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5年生の今月の本


ロラおばちゃんがやってきた タイトル ロラおばちゃんがやってきた
著者 フーリア・アルバレス
出版社 講談社
 

 両親が離婚することになったミゲルは、ママと妹のファニータの三人で、ニューヨークからヴァーモントに引っ越してきた。ママがそこでカウンセラーの仕事を見つけたからだ。けれども、昼間、子ども達だけで家にいることになるのを心配したママは、ふるさとのドミニカからロラおばさんを呼ぶことにする。それを聞いてお気楽そうなことを言っている妹を横目に、ミゲルはふきげんだった。

 別にロラおばさんが来るのがいやなわけではない。だけど、そうまでするくらいなら、どうしてパパと一緒にくらさないのだろう。パパだって家族だ。ほかにもふきげんになる理由はたくさんある、この家はおばけが出そうなくらいオンボロだし、自分達の黒い髪と小麦色の肌(はだ)が、このヴァーモントではやけに目立つのも気に入らない。クラスメイト達が無神経(むしんけい)なことを言うたびにむっとするせいだろうか。引っ越してもう3週間もたつのに、ミゲルにはまだ1人も友達ができなかった。
  そんなこんなで気もちが晴れないミゲルだが、近ごろめっきり涙もろくなってしまったママのようすを見ていると、けっきょくは何も言えなくなってしまうのだった。

 そしてついにロラおばさんを迎える日がやってきた。
  空港で、スペイン語でも英語でもないとんでもなく大きな、でもとにかくうれしいという感じの声がしてふりむくと、そこに立っていたのはまぎれもなくロラおばさんだった。おばさんはこれ以上ないくらい陽気で派手(はで)なかっこう、そして自分たちと同じ小麦色の肌をして、ファニータとミゲルに向かって両腕を広げている。

「こんにちは、ファニータ! こんにちは、ミゲル!」
「あなたたち、大好き!」

 おばさんの声にはものすごいパワーがあった。その瞬間、ミゲルは引っ越しのことも、ニューヨークに残してきたパパや友だちのこと、これまでのいやなことをすべて忘れた。そして、おばさんの胸に思いっきり飛びこんだ。

【 ミゲルたちのもとにやってきた4人目の家族、ロラおばさんは、その明るさと前向きな生き方でみんなに笑顔をもたらします。「自分の周りにもこんなおばさんがいてくれたら」と思わずにいられない、心温まるすてきなお話です。】

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