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5年生の今月の本


とんでもないブラウン一家 タイトル とんでもないブラウン一家
著者 アラン・アルバーグ
出版社 岩波書店
 

 お話の舞台は<海のほとりのスナグルトン>の町。登場人物はおなじみのブラウン一家です。五月のあたたかな朝の八時、ブラウン氏はバスルームで支度(したく)をととのえ、ミセス・ブラウンは朝ごはんに自家製(じかせい)のムースリを用意しているところ。十歳(さい)のべッツイは、フランス語の試験勉強をしながら髪(かみ)をとかし、九歳のブライアンは、テレビでドッグ・ショー見ている。そして赤ちゃんは……、
「ちょっと待って」
 とつぜん、ミセス・ブラウンがふきげんな顔でスプーンをおろしました。
「だれよ、こんなつまらないお話、書いたの」

 ブラウン婦人のこのひとことをきっかけに、食卓についていた家族がつぎつぎと不満(ふまん)をもらし始めました。
「どうして、もっと変化がつけられないんだろう――毎週おんなじじゃなく」
「もっと冒険したい!」(ブライアン)
「あたし、フランス語きらい!」(べッツイ)
「それをいうなら、わたしもムースリはきらいだね」(ブラウン氏)
「もっとわくわく!」
「宿題へらして!」
「家事もへらして!」

 ブラウン一家の口から次々と日ごろの不満(ふまん)がとび出しました。そう、彼らは自分達の決まりきった毎日にもうあきあきしていたのです。
 そういうわけで、彼らは自分達の<お話>をもっと特別なものに書きかえてもらうため、作者の家へ出かけてあれこれ注文をつけることにしました。
 とつぜん家に押しかけられた作者はびっくりするやらおどろくやら。

 とにもかくにも、作者はブラウン一家ののぞみどおり、新しい<お話>を書くことにします。ところが、そのお話のせいで、平和だったスナグルトンの町には、次々とおかしなことばかり起きて……。 さあ、一家はどうなってしまうのでしょう。

【 誰だって一度は、「もし自分が~だったら」と考えたことがあるのではないでしょうか。もし自分がわくわくするような冒険小説の主人公だったら、7ヶ国語がぺらぺらの天才スパイだったら、魔法使いだったら……と。
 そんな望みをかなえてもらったブラウン一家ですが、はたから見ると、もとのブラウン一家も"変身後"のブラウン一家もそんなに大した違いはないように思えてくるからふしぎです。もっとも、その原因がどこかいいかげんな感じのする作者にあると言えなくもないのですが。
 家族の真剣な思いをいまひとつ理解できない作者とのやりとりがおもしろく、笑って読めるお話です。】

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