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5年生の今月の本


ほんもののプレゼント
                  タイトル ほんもののプレゼント
著者 オー=ヘンリー
出版社 偕成社
 

 1ドル87セント。それは、真っ赤になりながら、八百屋(やおや)や肉屋で買い物をするときに値切(ねぎ)ってためた小銭(こぜに)でした。たったそれっぽっち。デラはボロボロのベッドに寝(ね)ころんでわあわあ泣(な)きました。あしたはクリスマスだというのに、夫(おっと)のジムにプレゼントを買うためのお金が1ドル87セントしかないのです。

 週8ドルのアパート。1階の入り口にはってある名刺(めいし)は、ジムが週に30ドルもらっていたころは、風が吹(ふ)いたってびくともしなかったものですが、週20ドルになったいまでは、その字もぼやけて、いっそ一字になってしまおうとしているようでした。

 ところで、この家には、じまんの品が二つありました。一つはおじいさんからお父さんに伝わってきた、ジムの金時計。そしてもう一つは、デラの美(うつく)しい髪(かみ)の毛でした。デラは一瞬(いっしゅん)まよいましたが、「マダム・ソフロニイかつら一式」という看板(かんばん)が出ているお店にとびこみました。「あのう、髪の毛を買っていただけます?」デラがきくと、「買いますよ」とマダムはいいました。

 自分の髪と引きかえにお金を手に入れたデラは、軽やかな気持ちで店から店へと歩きました。そしてやっと、これこそジムのために作られた、というプレゼントを見つけました。ほかのどの店にもこんなものはありません。デラはこれこそジムのものだと思いました。

 家に着くと、興奮(こうふん)していたのがすこしさめて、デラは冷静(れいせい)な気持ちになってきました。そして、髪をカールする道具を出してきて、短くなった自分の髪の毛を整えました。デラは小声でつぶやきました。

「神さま、あの人があたしのことをやっぱりきれいだと思ってくれますように」

 そのとき、ドアがあきました。ジムが帰ってきたのです。

【 今回紹かいしたオー=ヘンリーのお話は、たいへん短いのですが、とても感動できる作品です。また、とっても有名な話ですから、ぜひとも知っておいてほしい作品でもあります。】

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