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5年生の今月の本



                 ベビーシッターはアヒル!?
                  タイトル ベビーシッターはアヒル!?
著者 岡田 貴久子
出版社 ポプラ社
 

 ぼくのねえさんは中学で英語を教えている。そのねえさんが、突然今週の金曜日から、二週間ほどアメリカへ行くことになった。まさか、生まれてほんの十か月の赤んぼう(娘・ななこ)を、ほんの十五才と十か月の、とうぜん、ひとり者のぼく(弟・カオル)におしつけてほんとうに行っちまうとは思わなかった。ぼくらがふたりきりの姉弟(きょうだい)で、同じ町内に住んでいて、それでねえさんにはなにかと世話になっているうえ、ねえさんのダンナ(夫・ななこのパパ)は出張中――だとしても、だ。

 でも金曜日はやってきた。ななこもやってきた。ちいさなふとんのひとそろいや、お気に入りの絵本や、おもちゃや、二週間分の離乳(りにゅう)食のレシピやなにやかやといっしょに。

 ぼくの気持ちのいい1DK(ワンディーケイ)はたちまち「お子さま」モードになってしまったが、ねえさんは「カオルがいてくれて助かるわ」と、ぼくになんのかんのいうすきをあたえなかった。

 つぎの日。ベビーシッターのハナさんがやってきたのは、午前七時だ。ぼくはちょうど、時間割をそろえながら、ななこに朝ごはんを食べさせているところだった。ハナさんは、いつも黄色いエプロンをわきにかかえて、
「あらあらあら!まんまのおくちはどこかしらね」
とか、
「カオルさん、なんだってスプーンをわたしちゃうんです?」
とか、黄色い声をはりあげながら入ってきた。 そして、ななこの手からすばやくスプーンを取り上げ、
「ほらあーん」
「もひとつ、あーん」
と食べさせて、ぱっぱとかたづけてしまった。ハナさんはほんとうにたよりになる。

 ハナさんは、まっ白な羽根にひらべったいくちばしをしている。せかせかとおしりをふり立てて話す。えっ、びっくりした? ハナさんは、アヒルなんだ。しかも、生きているアヒルじゃない。すごく性能のいい子守(こも)りロボットなんだ。

 でも、心配なことがあった。ハナさんの電池は、充電(じゅうでん)して1時間しかもたないんだ。今から二週間、何事も起こらなきゃいいんだけど……。

【 読書があまり好きでない人も、きっと楽しく読める本です。ななこの行方(ゆくえ)がわからなくなってはらはらドキドキ。二週間後は!?】

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