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ふつうのおひめさま
タイトル | ふつうのおひめさま | |
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著者 | メアリー・マーガレット・ケイ | |
出版社 | 徳間書店 | |
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むかしむかし、ユメカウツツカという国に、六人のおひめさまがおりました。どのおひめさまもみな美しかったので、七ばん目のおひめさまが生まれたとき、この国の都(みやこ)ユメカにすむ人びとのよろこびようといったら、それはたいへんなものでした。 七ばん目のおひめさまは、ほんとうにあいくるしいあかちゃんでした。リンゴの花のようにかがやく白いはだに、もも色のほっぺ。そして、「はるかの森」を見おろす空のように青いひとみをしていました。 「アメジスト・アレクサンドラ・オーガスタ・アラミンタ・アデレード・オーレリア・アンひめぎみであらせられます!」 ――正式におひめさまの名前がはっぴょうされると、人びとは「ばんざい!」をさけび、白いハトが千羽、空高くはなされました。おいわいの品は、山のようにつみあげられました。ようせいたちも、国じゅうからやってきて、それぞれにおくりものをしましたが、それらのおくりものは、かわいらしさ、かしこさ、ゆうがさ、ゆうきなど、はこには入れられないものでした。 ところが、ようせいのなかでいちばん力をもつ、クラスタシアがおくれてやってきてからが、たいへん。 「なんてこった。あわれなむすめっこだよ!見かけは金ピカでもちゃちなおくりものばかり。あたしが、これらをあわせたよりも、ずっとしあわせをよぶおくりものをあげよう。よいかな、おまえさんはふつうの女の子になるんじゃ!」 そしてまんぞくそうにうなずくと、足ばやに出ていきました。 クラスタシアのまほうのききめは、たちまちあらわれました。リンゴのようなかわいい顔が、みるみるつぶれたトマトのようになり、ひめは大きく口をあけ、ギャンギャンなきわめきだしたのです。女王は気をうしなってしまいました。 さて、ユメカウツツカ王国では、平和な月日がながれていきましたが、ようせいクラスタシアのまほうのききめも、どんどん強くあらわれてきました。七ばん目のおひめさまが、ますますふつうのむすめになってきたのです。お姉さんたちは、つぎつぎに結婚(けっこん)し、ハンサムでりっぱな王子のところへ、およめにいきました。しかし、七ばん目のおひめさまをもらおうという王子など、一人もいませんでした。でも、このおひめさまには、ほかのおひめさまにないすばらしいところがたくさんあったのです。ほら、たくさんのようせいたちがくれたおくりものがありましたね。おひめさまがあまりにふつうだったため、だれも気がつかなかったのです。 とうとう、六ばん目のお姉さんも、結婚してしまいました。のこされた、ふつうのおひめさまはどうなるのでしょう。心配ご無用。このおひめさまにも、ちゃんと結婚をもうしこむ王子さまがあらわれたのです。 【 ふつうのおひめさまの前にあらわれたのは、どんな王子さまでしょう。ぜひ、本を読んで確かめてください。少なくとも、見かけにこだわらず、その人のよいところをしっかり見ぬける人物だったことだけは確かです。】 |