トップページ > 読書案内 >  5年生の今月の本 > 5年生におすすめの本
 >  ぼく、ネズミだったの!

5年生の今月の本



                 ぼく、ネズミだったの!
                  タイトル ぼく、ネズミだったの!
著者 フィリップ・プルマン
出版社 偕成社
 

 ボブとジョーンの老夫婦(ふうふ)の家に、あるさむい夜、だれかが訪(たず)ねてきました。ドアを開けると、月明かりのなかに、お小姓(こしょう)の制服(せいふく)を着た小さな男の子が立っていました。

「おやおや!どなたかな?」

 ボブがたずねると、
「ぼく、ネズミだったの」
少年がこたえました。

「なんですって?」

 ジョーンが夫のうしろからいいました。

「ぼく、ネズミだったの」

 少年がくりかえしていいました。

 少年を家に入れてやったあと、
「なんて名前だね?」
と、ボブがたずねました。すると、
「なまえ、もってない」
「ほんとうに名前がないのかね?」
「なくした。わすれちゃった。ぼく、ネズミだったの」

 それでなにもかも説明がつくとでもいうように、少年はいいました。
「自分がいくつか、知ってるか?」

 ボブがたずねると、
「うん、しってるよ。ぼく、さんしゅうかんさい」
「お母さんとお父さんはどこにいる?」
「じめんのした」

 

 翌(よく)日から、市役所へ行ったり、孤児(こじ)院(いん)をたずねたり、警察(けいさつ)や病院に行って相談したりしましたが、少年の身元は分かりません。少年は、やたらとものをかじります。一方、普通(ふつう)の少年なら知っていることをまったく知らないようです。

 少年は、ロジャーと名づけられ、小学校へ行くことになりました。ところが、ロジャーは鉛筆(えんぴつ)さえもっていません。ふざけていると思った先生が、きびしくしかろうとすると、なんとロジャーは先生の手にかみつきました。さらには、お仕置きをしようとした校長先生ととっくみあい、カンカンにおこらせてしまいます。

 ネズミのような少年のうわさを聞きつけた人たちは、みなロジャーを利用して有名になろうとしたり、金儲(もう)けをたくらんだりする人たちばかり。やがて、ロジャーはとらえられ、悪魔(あくま)の「ネズミ・モンスター」として処刑(しょけい)されることになってしまいます。ロジャーの正体を知っているのは、世の中でただ一人。それは、お城(しろ)の皇太子(こうたいし)妃(ひ)となった少女でした。じつは、ロジャーがお小姓の姿(すがた)をしていたのは、彼女(かのじょ)と大いに関係があったのです。ロジャーを助けられるのは彼女だけ。いったい、だれがどうやって彼女にロジャーの危機(きき)を伝えたらよいのでしょう。

【 ストーリーが巧(たく)みで、たいへんおもしく読みごたえのある本です。読書好きの少年少女におすすめします。最後まで読むと、シンデレラの物語が下敷(じ)きになっているのがわかります。各校舎(こうしゃ)とも、貸し出し用図書として備えています。また、書店でもお求めになれます。】

Page Top