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5年生の今月の本



                 おじいちゃんのタイム・マシン
                  タイトル おじいちゃんのタイム・マシン
著者 今村 葦子
出版社 あすなろ書房
 

<おばあちゃんが、わたしをおいて、いってしまった>
  ルナは今朝からくり返し同じことばかり考えていました。

 

<おばあちゃんが、わたしをおいて、いってしまった>
 でも、おばあちゃんはおつかいに行ったのでも、買い物に行ったのでもありません。ルナのおばあちゃんは、7日前にとつぜん亡くなってしまったのです。

 

<死ぬってどんなだろう>
ついこの間まで元気だったおばあちゃんの死――。そのことがルナにはとても信じられず、悲しいというよりは、なんだかだまされたような、がっかりしたような気さえするのでした。

 

「ばあちゃんは、ちっとも苦しまずに死んだんだから、かなしむことはないんだよ」

 そう言ってなぐさめてくれるおじいちゃんの方がもっとつらそうに見えましたが、ルナはだまっていました。

 

 ルナとおじいちゃんは、その日も<タイム・マシン>に乗ってお話をしました。<タイム・マシン>といっても、本当はもう使わなくなったおんぼろの車なのです。けれども、そこでおじいちゃんがいつも面白い昔話を聞かせてくれるので、もう走らないはずの車が、いつしか遠い昔へと旅する<タイム・マシン>のように思えてきたのでした。

 おじいちゃんの昔話が大好きだったおばあちゃん。でも、今日からおじいちゃんの<タイム・マシン>に乗るのは、ルナだけです。おばあちゃんは、もう昔話の中の住人になってしまったのでしょうか……。ルナは悲しくてたまりません。

【 すぎ去っていく時間は取り戻すことができません。けれども、大切な人のことを思うとき、私たちの心は今いる場所や時間を飛びこえて、自由に旅することができるのです。みなさんにも、ルナやおじいちゃんのように、もう一度訪れてみたいと思う時間があるのではないでしょうか。読み終わるとやさしい気持ちに満たされるお話です。】

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