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吹きぬけの青い空
タイトル | 吹きぬけの青い空 | |
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著者 | 志津谷 元子 | |
出版社 | 学習研究社 | |
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ぼくの住んでいる十階建てのマンションは、四十年くらい前に建てられた。大きな吹きぬけのある、しゃれたマンションとして話題になり、雑誌にも何回か紹介されたことがあるらしい。でも、来年の一月には取りこわされるので、今年じゅうに全員出ていかなければならない。 いま、マンションに残っているのは、ぼくの家と、大久保さんという若い女の人と、津島さんというおばさんと、ぼくとは相性(あいしょう)が悪い荒木田のじいさんの四軒だけだった。 じいさんは、マンションにまだ子どもがたくさんいたころから、「静かにしろ」とか「ろうかを走るな」とか、子どもを見るたびに、まるでかたきのようにどなっていた。特に、吹きぬけを囲むろうかのフェンスによじのぼって遊んでいると、血相(けっそう)を変えて飛んできて、引きずりおろした。 そんなうるさい荒木田のじいさんといっしょにエレベーターに閉じ込められたのをきっかけに、ぼくは荒木田のじいさんととても仲良くなった。 だが、一月のマンション取りこわしまでにはみんなマンションを出ていかなければならない。ぼくの家も、大久保さんも、津島さんも引っ越し先を決めたのに、荒木田さんだけが次に引っ越す家を見つけられていなかった。 【 いろいろな人の人生が紡がれてきたマンション。住む人も変わり、マンションも変わっていく。今まで生きてきた人生の長さによって、この本にそれぞれ違う感想を抱かれるでしょう。それを話し合っていただきたい一冊です。】 |