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ポピー ミミズクの森をぬけて
タイトル | ポピー ミミズクの森をぬけて | |
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著者 | アヴィ | |
出版社 | あかね書房 | |
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シロアシネズミのポピーは、ボーイフレンドのラグウィードといっしょに『丸パンの丘(おか)』に来ていた。ここに来るには「オカックスさま」のゆるしをもらわなくてはならないことになっている。だがふたりはそれをしていない。ポピーは気が気ではなかった。 「オカックスさま」というのは、森にすむミミズクの名だ。森の支配者であり、ヤマアラシというおそろしいけものからネズミたちを守ってくださるありがたいかただ――そうネズミたちは信じこんでいた。 ラグウィードはちがった。かれはポピーたち一族にいつのまにかまぎれこんでいるキンイロネズミで、ポピーの父さんが子ネズミたちに教えることに、かたっぱしから質問してまぜ返してばかりいた。あれこれ知りたがると、父さんはいやな顔をするが、ラグウィードはいっこうに平気だった。 ラグウィードは、ポピーに言った。 「遊びにいくたびに、おいぼれミミズクに頭をさげて一生すごせっていうのか。ぼくはごめんだ。ぼくはこれから、おいしいハシバミの実をゆっくり食べるんだ」 だがそこへ、音もなく飛んできたオカックスの影(かげ)が! くさった木の皮の下にかくれていたポピーは鼻先をかすめられただけですんだが、ラグウィードは一瞬(いっしゅん)のうちにオカックスのかぎづめでしめあげられ、食べられてしまう。しゅうねん深いオカックスの攻撃(こうげき)をどうにかかわしながら、ポピーが命からがら住みかにもどると、たいへんな問題がもちあがっていた。 ネズミ一族の数がふえすぎたために食料が足りなくなり、このままでは、みんな苦しみながら死ぬのを待つばかりだ。森のむこうに『新しい家』ができたらしいから、そこへ引っこしてはどうだろうか――というのだ。そのためには、「オカックスさま」におうかがいを立てなければならない。だが、父さんといっしょにオカックスのところへ行く役には、誰(だれ)もがしりごみしてなりたがらなかった。父さんはポピーを選んだ。 『新しい家』に移(うつ)りたい、という父さんのねがいを、オカックスは聞き入れなかった。ポピーがゆるしをもらわずに『丸パンの丘』にのぼったせいだと言う。 これでは、一族は死ぬのを待つばかりだ。住みかにもどった父さんは、目に見えて元気がなくなっていった。ポピーは父さんに言った。 「オカックスさまが引っこしをおゆるしにならなかったのには、もっとほかの理由があるんじゃないかしら。あの『新しい家』に、わたしたちに知られたくないことがあるんだわ。わたし、行ってその理由をつきとめてみる」 命がけでたどりついた『新しい家』で、ポピーが知った事実とは――? 【 仲間を救うため、おそろしさに耐(た)えながら、たったひとりでオカックスのいる森をぬけようとするポピーの勇気と冒険(ぼうけん)をえがいた物語。作者のアヴィ自身もこんなことを言っています。「耳をすませて、まわりの世界をようく見ることが大切だね。なぜそうなるのか理解しようと努力すること。他人のくれた答えで満足しちゃだめなんだ」】 |