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5年生の今月の本



                 ピーターと象と魔術師
                  タイトル ピーターと象と魔術師
著者 ケイト・ディカミロ
出版社 岩波書店
 

 ピーターは、雪の降る寒い国で、ルッツさんという元兵士のおじいさんとふたりきりでいっしょに暮らしていました。ある日、ピーターは、ルッツさんから食べ物を買うためにあずかったお金で占いをしてしまいました。どうしても真実を知りたいことがあったからです。

 占い師はピーターに言いました。
「あんたの知りたいことかい? 妹のことだね。だいじょうぶだよ。生きているよ、あんたの妹は」
  占い師はつづけて言いました。
「象のあとを追うんだよ。象があんたの妹のいる場所へとつれていってくれるんだよ」
  その言葉をきいて、ピーターの高ぶっていた気分は、ゆっくりとしずんでいきました。象なんてこの町にはいないのです。

 ところが、その晩。ピーターの住むアパートからそれほど遠くないところにあるオペラ座で、もう若くない魔術師が、生涯で後にも先にもこれっきりというおどろくべき魔術を演じてみせました。

 魔術師はユリの花束をだすつもりでした。ところが、出てきたのは、なんと、象でした。

 象がオペラ座の天井をつきやぶって、しっくいのほこりや屋根板を山と降らせながら、魔術師が花束を贈るつもりでいた貴婦人のひざの上に落ちてきたのです。

 貴婦人の両足はくだけ、永久に歩けない身となってしまいました。

 魔術師はいっさいの言いわけをみとめられず、牢屋へとひったてられていきました。象も馬小屋にとじこめられることになってしまいました。

 ピーターは次の日も、市場にいきました。市場の魚屋でピーターがならんでいると、ピーターの目の前の女の人と魚屋が、オペラ座の天井から落ちてきた象の話をしはじめました。ピーターはその話を聞き、妹は生きているんだとわかってうれしくなりました。そして、ピーターは象に会うための方法を探すことにしました。

【 今まで死んだと聞かされていた妹が生きていたら。でも、それはピーターを育ててくれているルッツさんが嘘をついていたことになるのです。「許すこと」が魔法のようにすべてを変えていく物語。】

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