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5年生の今月の本



                 森は生きている
                  タイトル 森は生きている
著者 サムイル・マルシャーク
出版社 岩波書店
 

 まだ十四歳の女王が、いつものわがままと気まぐれから、真冬に四月の花マツユキソウがほしいと言い出しました。マツユキソウをつんでお城に届(とど)けた者には、かごいっぱいの金貨を出すというおふれが張り出され、国中大さわぎになってしまいます。

 ちょうどその頃、吹雪(ふぶき)の森で一人の少女がこごえていました。彼女は、金貨に目がくらんだ継母と姉の言いつけで、暗い森へと分け入ることになったのです。けれども、マツユキソウは春の花。どんなに頑張(がんば)って探したところで見つかるはずなどありません。

 そのとき、森の奥(おく)がなにやら明るく輝くのに少女は気づきました。そっと近づくと、あかあかとした大きなたき火のまわりに、何人もの人がいるではありませんか。数えてみると彼らは十二人で、三人は老人、三人は中年、三人は若く、最後の三人はまだ少年でした。たき火を借りてすっかりあたたまった少女は、彼らに自分が森へ来たわけを話します。すると、その中の一人が立ち去ろうとする彼女を呼び止めて言いました。
「待ちたまえ、むすめさん、そういそぐなよ。一月のにいさん、ぼくに一時間だけ、席をゆずってください。」

 やがて、何人かが不思議な言葉とともに長い杖(つえ)でかわるがわる地面をたたくと、驚くべきことが起きました。なんと、それまで激しい吹雪で雪にうもれていた森が、あっと言う間に緑豊かな春の森へと変わったのです。

【 このお話は、ロシアの詩人マルシャークが、「大晦日(おおみそか)の晩に、一月から十二月までの全ての月の精が森の中で出逢(あ)う」というスラブの民話をもとに作った児童劇です。森の生き物や精霊たちの生き生きとした描写が読む人の想像力を駆り立てます。物語は登場人物の会話だけで進められますが、どのセリフも美しく、ぜひ声に出して読んでいただきたい作品です。】

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