新ちゃんは、おれと同い年だ。当然おれといっしょに田上小学校に行ってるはずだったんだが、そうはいかなかった。新ちゃんは生まれつき「四肢性マヒ」という病気で、まず一生歩けないんじゃないか、と医者に言われたそうだ。小学校も、ふつうの小学校ではなく、遠い町の病院にある学園に入った。あまったれの泣き虫だった新ちゃんは、そこでぐんぐん変わった。使えない足のかわりに、手と肩の力ではって行く。ズルズルと足を引きずって。

　リハビリとはいえ、まわりの人たちは、それでは新ちゃんがかわいそうだと言った。

「ズボンなんか、何十本ダメにしたっていいの。けっしておぶったりしないで、どこへでも連れていって。ね、おねがいよ！」

　 新ちゃんの母さんはそう言って、おれに手を合わせたんだ。おれは、新ちゃんにたのまれたこと以外は手伝わない、ということを覚えた。