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5年生の今月の本



                 のっぽのサラ
                  タイトル のっぽのサラ
著者 パトリシア・マクラクラン
出版社 徳間書店
 

「ママはいつもうたってたの?」
 ケイレブがたずねました。
「そう、いつもいつもうたっていたわ」

 私が、こう答えるのは今週になって二度目。今月になって二十四回目。今年になって百回目ぐらい?

 ケイレブが生まれた日の次の朝、ママが死んでしまった。それからはパパもうたわなくなってしまいました。


  ある晩、ケイレブはいきなりこんなことをいいだしました。
「パパはうたわなくなったんだね」
  ちょっと責めるような口調でした。
「昔の歌は、もう忘れてしまったんだ」パパはおだやかにいって、椅子にこしかけました。
「だが、思い出す方法があるかもしれないぞ」

 なんと、パパが新聞に出した、パパの新しい奥さんをぼしゅうする広告に手紙をくれた人がいるというのです。

 その人は、サラ。海のそばで生まれ育ち、海のそばで暮らすのが大好きな人でした。サラと私たちは何度も手紙をやりとりしました。

 そして、とうとうサラが一カ月の間だけためしに私たちといっしょに暮らすことになりました。でも、わたしは心配でした。だってここは見わたすかぎり草原がひろがっていて、サラの大好きな海なんてないのですから。

 ああ、ここに私たちの海があればいいのに……。

【 手紙だけでしか知らないサラ。どんな人なんでしょうか。短編にも関わらずニューベリー賞を受賞したと話題になった作品です。続編に「草原のサラ」があります。】

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