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くじらの歌
タイトル | くじらの歌 | |
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著者 | ウーリー・オルレブ | |
出版社 | 岩波書店 | |
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ミハエルの父さんは、ミハエルが九歳の時イスラエルに家族全員で引っ越した。ミハエルのお父さんが自分の父さん、つまり、ミハエルのおじいちゃんの老後の世話をするために。 大金持ちで古物商をしているおじいちゃんはまだまだ元気だったので、ミハエルとは別々にくらしていた。昔の道具や楽器など、古い物が大好きなミハエルはさっそくおじいちゃんの家に遊びに行った。おじいちゃんもミハエルと同じように古い物が大好きだったので、ミハエルとおじいちゃんはすぐに仲良くなった。 ある日、ミハエルはおじいちゃんの家に遊びにいって、すてきな夢をみた。いつか操縦したいと思っていたクレーンを操縦する夢だ。ミハエルはおじいちゃんにその夢のことは言わなかったのに、おじいちゃんはその夢のことを知っているようだった。 なぜならそのクレーンを操縦する夢はおじいちゃんの夢だったからだ。 おじいちゃんは自分の夢の中に人をつれていく才能を持った人だったのだ。 ミハエルとおじいちゃんはひまさえあれば、夢の中でいっしょにすごした。それは、楽しいところだったり、なつかしいようなふしぎな場所だったりすることもあれば、とても怖いものもあった。 おじいちゃんは、マダム・シボニエという家政婦といっしょにくらしていた。マダムはおじいちゃんの特別な人で、毎週おじいちゃんといっしょにレストランに行ったり、コンサートに行ったりしていた。ところが、ミハエルがやってきてからというもの、おじいちゃんはミハエルと遊ぶことに夢中で、マダムとの約束をあまり守らなくなってしまった。そういう理由もあって、マダムはミハエルがおじいちゃんと遊ぶことに文句ばかり言うようになった。 そして、ミハエルのお父さんたちも、おじいちゃんの遺産のことやお父さんの商売のことで、おじいちゃんをこまらせていた。 おじいちゃんは、とうとう自分の夢の力を使って、マダムとミハエルのお父さんたちをこらしめることにした。 ミハエルもその夢の中にいた。それはとてもおそろしい悪夢だった。 【 遺産問題というなまなましい現実に右往左往する大人たち。その一方で、もっと大切なものをミハエルはおじいちゃんから引き継ぎます。ある時から変わっていくおじいちゃんの夢の内容やその夢の意味について、いろいろ考えさせられる物語です。】 |