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5年生の今月の本



                 ケニー&ドラゴン 伝説の竜退治
                  タイトル ケニー&ドラゴン 伝説の竜退治
著者 トニー・ディテルリッジ
出版社 文溪堂
 

 何年も前。きみたちの住んでるところから、すこしばかり西のほうにある町の農場で、ウサギの農夫と、おくさんと、息子のケニーが暮らしていた。

 ケニーは本が大好き。机から鉛筆(えんぴつ)をかっさらわれたって気づかないほど、おおいかぶさるようにしていつも本を読んでいた。

 ケニーの両親は、畑仕事で手いっぱいで、本を読むひまなんかなかったけれど、いつでも本を読んでいるケニーを応援して、いろんなことに興味しんしんのケニーの話を聞いてくれた。

 だから、ケニーのお父さんが農場の中の丘にドラゴンがいるのを見つけた時も、ドラゴンに会いたいというケニーを両親はとめなかった。
「宿題をすませてからよ」

 ケニーは宿題の天文学に関するレポートをドラゴンの観察記録に変えてもらおうと考えると、ドラゴンのお話がのっている「動物寓話(ぐうわ)集」の本をかばんにつっこんだ。そして、フライパンをロープで胸に固定し、深鍋(ふかなべ)を頭にのっけて、自転車にまたがった。

 丘につくと、本当にドラゴンがいた。ケニーはかばんから本を取り出すと、さし絵をみながらドラゴンを観察した。動物寓話集の絵のドラゴンはうろこだらけで、獰猛(どうもう)そうな顔つきをしているのに、目の前のドラゴンは、丸っこいし、毛深いし、みすぼらしかった。
「まいったなあ、ちょうど読みかけの動物寓話集をもってるんだけど……なかみが不正確なんじゃないかって気がしてきたよ」

 ケニーがそういうと、今までタヌキ寝入りをしていたドラゴンはぱっちり目を開いて、さっとすわりなおした。
「そういうことなら、こっちへきて、ちょっと見せておくれ」

 ドラゴンは、ケニーから本を受け取るとメガネを取りだしてきて、動物寓話集のドラゴンのページを読みはじめた。

【 おしゃべりできて本も読むことができるけど、みすぼらしい竜! 楽しそうな竜ですが、本当に安全なのでしょうか? やっぱり退治しなけりゃいけないの? ケネス・グレアムの「のんきなりゅう(作中では「おひとよしのりゅう」)」を下敷きに、登場人物を動物に置き換えた物語。インガ・ムーアのさし絵の「のんきなりゅう」も近年発行されておりますので、そちらもあわせて読んでみてください。】

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