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5年生の今月の本



                 牡丹さんの不思議な毎日
                  タイトル 牡丹さんの不思議な毎日
著者 柏葉 幸子
出版社 あかね書房
 

  菫(すみれ)のお母さんの牡丹(ばたん)さんが買うことに決めたマイホームは、もとホテルだった建物だった。

 引っ越しの荷物を運びこんだ後、お父さんはホテルの家族風呂に入ることにした。

 お父さんがお風呂に入ったと思ったら、すぐに大きな悲鳴がして、あわだらけになったお父さんが、風呂場(ふろば)から飛びだしてきた。

「知らないばあさんが風呂にいる。」

 牡丹さんと菫が家族風呂に様子を見にいくと、湯船(ゆぶね)に肩までつかったおばあさんがいた。

「すみません。ここ、もうホテルじゃないんです。個人の家なんです。」
と、牡丹さんがいうと、
「私、ここに住んでいるんですぅ。私ごとお買いになったんです。こんな年寄り、追い出さないでくださいな。」
と、そのおばあさんが、めそめそ泣きだした。

 すると、風呂場の明かりがスーッと暗くなって、パッとついた。

「あなた、幽霊(ゆうれい)なんですか?」

 牡丹さんはダイレクトだ。

「わかっていただけて、うれしいです。ここ、幽霊ホテルっていわれてたのご存じないんですぅ?」

 牡丹さんは、どうりでこのホテルが安かったのだと歯ぎしりした。それでも、牡丹さんはこのマイホームを手放す気にはなれなかった。このホテルは菫の通学やお父さんの通勤にも便利だし、買い物やバスの便利もいいのだ。

 そこで、牡丹さんは、この幽霊のおばあさんと契約(けいやく)することにした。

 牡丹さんたちがお風呂を使うときはでてこない。朝、風呂場の掃除(そうじ)を幽霊のおばあさんがする。

 この条件で、おばあさんの幽霊をホテルに住まわせることにしたのだ。

 菫は、不安でいっぱいになった。これからの生活がどんなものになるやら、想像したくもなかった。

【 牡丹さん一家は、幽霊のおばあさんにこの温泉街のことを教わりながら、温泉街で起こるさまざまな不思議なお話に関わっていきます。人情味あふれるファンタジーです。】

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