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> 川床にえくぼが三つ
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タイトル |
川床にえくぼが三つ |
著者 |
にしがき ようこ |
出版社 |
小学館 |
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中学二年の夏休み、あたしは日本を脱出する。といっても、八日間。行き先はインドネシア共和国。
緊張しながら、手荷物検査、出国手続きを終え、やっと飛行機の出発を待つロビーにたどりついた。ざわざわとした人の声。日本人ばかりじゃなく、外国の人の姿も多い。心臓の鼓動が耳のすぐそばで聞こえていた。
「文音、大丈夫?」
あたしの顔を華がのぞきこんでいた。大きな目をあたしにむけている華は小学校三年生からのお友だち。引っこしてきたあたしの家の近所に華は住んでいた。その華とこれからいっしょに旅をする。
「華は平気なの?」
「もちろん平気よ。う〜ん、でもないかな。かなりどきどきしてる」
指に髪の毛を巻きつけながら華が言った。
夏休みにはいってすぐのことだった。お父さんの年の離れた妹、あたしにとっておばさんにあたる楓子(ふうこ)さんが、海外に行くと報告に来た。楓子さんは、昔の地層をテーマに研究している研究社で、いろんな国を飛びまわっている。その楓子さんに「いっしょに行く?」と聞かれた。暑いだけの夏休み。だらだらと過ごしてしまう自分を想像した。だから、楓子さんのさそいに飛びついた。迷いはなかった。
●中学二年生の夏休み。文音と華は、インドネシアへ旅立ちます。初めての飛行機、初めての海外、初めての研究調査。二人が体験していくインドネシアでの物語が、生まれた国や環境など関係ない、人のあたたかさを伝えてくれます。物語には、50万年前の原人の話題がでてきます。太古の昔から、今に続く命のつながりを感じさせてくれるお話です。
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