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5年生の今月の本


ぼくと未来屋の夏 タイトル ぼくと未来屋の夏
著者 はやみね かおる
出版社 講談社
 

 きみは、未来のことがわかるかな?ぼくは、わからない。未来は、だれにもわからない。ぼくは、そう思っていた。小学校六年生の夏――未来屋の猫柳さんに会うまでは。
 
「未来を知りたくないかい?」とつぜん声をかけられて、ぼくはびっくりした。ここは、髪櫛町の駅前商店街。ぼくは、体の正面にアサガオの大きな鉢や習字セットをかかえていて、とっても視界が悪い。体全体をひねって、声がしたほうを見る。すると、白い布をかけた小さな机の前で、男の人が本を読んでいた。黒く長い髪が目を隠しているので、男の人の表情はわからない。
「未来を知りたくないかい?」その質問には答えず、ぼくは逆にきいた。「いま、ぼくがなにをしてるかわかる?」すると、男の人は、ぼくの様子をしげしげと見て、いろいろ考える。「引っ越しかな……?いや、手で荷物を運ぶのは、能率が悪い。」そして、男の人は、ぼくに人差し指をビシッとつきつけ、断言した。
「わかった!きみは、学校を退学になったんだろう!」
「……。」
「もっとふつうに、『夏休み前なので、学校に置いてある荷物を持って帰ってる。』とは、考えられない?」
ぼくが歩き出そうとすると、男の人は、またいった。
「ちょっとまってよ、山村風太くん。」
どうして、ぼくの名前を知ってるんだろう?不思議に思ってるぼくに、男の人は、ぼくが下げてる画板を指さした。たしかに、そこには『六年二組 山村風太』って書いてある。なるほど。観察力はいいんだ。でも、どれだけ観察力がよくても、さっきみたいにめちゃくちゃな答えを出してくるようじゃ、頭は良くないんだろうな……。

●風太の前にあらわれたのは、なんとも怪しげな風貌の男。その男は、「名前は、猫柳健之介。未来をあつかう、『未来屋』だよ」といいます。怪しくて妖しいけど、そう悪いひとじゃなさそうな猫柳さんは、この後風太のおとうさんに気に入られ、なんと、風太の家に寝泊まりするになります。さて、風太と猫柳さんはどんな夏を一緒に過ごすのでしょうか?

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