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> 3人のパパとぼくたちの夏
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タイトル |
3人のパパとぼくたちの夏 |
著者 |
井上林子(作)宮尾和孝(絵) |
出版社 |
講談社 |
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夏休みがはじまった。今からぼくは、家出する。リュックにいろいろなものをつめこんで、お気に入りの野球帽をかぶる。今日もらったばかりの通知表をひろげてもう一度ながめる。
五年生のときと変わらない成績。国語と社会と図工が「できる」。算数と理科と音楽と体育が「もうすこし」。そして、家庭科が「よくできる」。ピカリと光るたったひとつの「よくできる」。うれしいけれど……。「でも家庭科かぁ」
ぼくは通知表をとじて、リビングのテーブルにおいた。その横には、くしゃくしゃになってやぶれかけた紙が一枚おいてある。家出をすると決めた三十分前、ぼくが書いた置き手紙だ。ぼくは手紙をひとにらみして、ガラスドアごしにうす暗い台所をみつめた。
終業式をおえて家に帰ってきてみたら、あまりにさんざんな家のありさまにぼくは心底がっかりした。洗われていないぎとぎとの皿。洗濯機の中で、だんごになった中途半端な洗濯もの。捨てられていないゴミぶくろ。
家のとびらがきっちりとしまっているか、もう一度確認する。いつもはスーパーのふくろをつめこむ前かごにリュックを入れて、ぼくは、グリーンのマウンテンバイクにとびのった。出発だ。
おとうさんへ
もうげんかい!朝「すてる」って言ったのに、おとうさんがすてなかったから、台所のゴミふくろにハエがたかってる!ゴミすてわすれるの、これで何回め?ほんとうにほんとうにいいかげんにして。さいきんのおとうさんは、家事当番をサボりすぎだ!!!
おとうさんが家事をサボらなくなったら帰るので、くれぐれもケイサツにはつうほうしないように!台所のハエもぜんぶたいじして!じゃないと、ぼくは一生家に帰りません。
亀谷めぐる
●家庭科の成績が「よくできる」のめぐるくんは、家事が嫌いではありません。しかし、何回もゴミすてを忘れ、皿洗いもしないおとうさんに「どうして自分ばっかり」とうんざりしてしまいます。幼なじみの結一はから「夜になったら毎日かけろ」とせんべつに大量のテレホンカードをもらい、自転車を走らせてたどりついたのは「咲かせ川駅」。そこで、おぼれかけている二人の女の子を助けます。二人に連れられてその子たちの家に行くと、朝パパと夜パパの二人のパパがいました。
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