レシピとは「作り方の説明」のこと。

　 でも美奈の見つけた大おばさんのレシピは、ただのレシピではありません。
そのレシピ通りにお料理や小物を作ると、美奈はたちまち不思議な世界へ行ってしまうのです……。

　中学一年生の美奈は、家庭科が大の苦手な女の子。ほうちょうを持てば手を切る。ミシンは美奈がやるときだけ糸がからまる。塩味のホットケーキが焼きあがったり、さとう入りのスープがにえたぎったりする。

　家庭科の時間の美奈は、なにかにのろわれているとしか思えない。でもやっぱり女の子としては、なにかつくれるようになりたい。そんな美奈に、同じく料理や手芸が苦手なお母さんは、
「へえー。いまはなんでも買ったほうがおいしいし、安いし、洋服なんて形もいいわ。家庭科コンプレックスなんて古いわよ。気にすることないって」
と言いながらも、なんどに美奈の「大おばさん」にあたる人からけっこん祝いにもらった「レシピ」があることを教えてくれた。